続く「見慣れない風景」に緊張

「長い休校期間が明けて登校してみたら、以前の日常風景がすっかり変わってしまっていた」──。そう感じるお子さんが増えているのではないでしょうか。

今は教室でも、マスクをつける、昼食はおしゃべりせずに食べるなどさまざまな感染対策がとられています。お子さんたちにとっては、通常であれば新しいクラスに慣れてくる時期のはずなのに、「見慣れない風景」が続くということになります。しかも、これがいつまで続くのかわからない。私たち大人にとっても初めての経験ですし、気疲れしてしまう時もありますよね。それはお子さんにとっても同じかもしれません。

「学校に行きたくない理由」を探すのは後回しに

多くの小中学校では、8月から夏休みが始まりました。夏休みは、お子さんにとって心を休める時間でもあり、2学期に向けて気持ちを整える時間でもあるのですが、今年はコロナの影響によって多くの学校で夏休みが短くなっています。

そのため、落ち着いた心を取り戻すための時間がほとんどありません。このままで行くと、2学期に向けた心の準備ができないまま夏休みを終えてしまうお子さんが増えるのではと心配しています。

こうしたストレスは、多くの場合、行き渋りや不登校という形で現れてきます。ある日突然「今日は学校に行きたくない」と言われたら、親御さんとしては「どうして?」と聞きたくなるもの。でも、理由探しをするのは後にして、まずはお子さんの気持ちに寄り添っていただきたいのです。

「行きたくない」という言葉が出てくる時、本人はすでにいっぱいいっぱいになっていることがほとんどです。コップで例えると、水があふれる限界ギリギリの状態と言えるでしょう。ここで理由探しをしたり「頑張って学校に行きなさい」と命じたりすると、「わかってもらえなかった」という思いでストレスが高まり、水があふれてしまうような結果につながりかねません。

まずは「そうなの、行きたくないんだね」「今どんな気持ちなの?」というように、お子さんの気持ちを共有する姿勢が大事だと思います。「行きたくない」と言われると親御さんはドキッとするでしょうが、コップの水があふれる前に、気持ちに寄り添うことは、お子さんの気持ちの余裕につながります。

親がわかってくれたということで、お子さんの心がスッと楽になることも多くありますので、「話してくれてありがとう」という気持ちで、ぜひ寄り添ってあげてください。

本当は、ギリギリになる前に予兆のようなものが見えるといいのですが、これに気づくのは難しく、親御さんはもちろん、私たちカウンセラーでも気づけないことがあります。

予兆の例としては、いつもはよく話しかけてくるのにそれがない、友達の話をする時にネガティブな言葉が混じる、などが挙げられます。ただ、これはお子さんによって本当に千差万別なので、たとえ気づかなくても決してご自分を責めないでください。