相手の社風に合わせた店選びや会話を心がける

接待では相手の社風を考慮して準備することが重要だと思っています。例えば、同じ中華でも、フランクな雰囲気の会社なら大皿で取り分けるスタイルで、序列を重んじるレガシーな会社には一皿ずつのコース料理など、選択が違ってきます。

クレディセゾン 取締役 安森一惠さん
クレディセゾン 取締役 安森一惠さん(撮影=稲垣純也)

会話も同じで、業種や社風によって盛り上がる話題、タブーな話題があるので、そこは気を使うようにしていますね。

また、お店選びでは、先方からのアクセスのよさも重要。電車でいらっしゃる方もいるので、乗り換えは1回までの範囲と決めて探します。

接待する側の参加メンバーが事前に会の目的意識を共有することも大切です。先方と打ち解ける時間を持つことで、ビジネスの潤滑油となるのが接待の役割。有意義な時間を過ごすためにも、チームとしてしっかり役割分担をしておくべきでしょう。私はお酒が強くないので、メンバーにお酒に詳しい人間を加えたり、店側ときめ細かな進行をやり取りする担当を決めるなどして、準備するようにしています。

驚きや新鮮さを楽しんでもらえる店選びを

私はエグゼクティブ向けのグルメサイトの運営責任者として業務しており、接待をする側、される側の経験も数多く積んできました。魅力ある接待ができる店は、味や雰囲気、空間、サービスなどの基本スペックに加えて、その店独自の語れる何かを持っていることです。

一休 メディア事業部事業部長 石川愛里さん
一休 メディア事業部事業部長 石川愛里さん(撮影=稲垣純也)

例えば、銀座にある日本料理店「六雁むつかり」は、料理に真摯しんしに向き合う姿勢とお客への丁寧な心遣いが秀逸。カウンターキッチンと完全個室があり、最近人気のカウンター会席として利用することもできます。話題性では、2019年、東京・日比谷にオープンした「TexturAテクストゥーラ」。中華×スパニッシュの注目店で、今の東京っぽさを代表するお店です。

接待となると、どうしても無難で安心できる有名店を選びがちです。でも、心に響く新鮮さや驚きは、何よりのおもてなしだと思っています。

ホテルの支配人や旅館の女将など一流を知る方も接待するので、普段から礼儀やマナーにはかなり気をつけています。これらはチームでも共有しておいたほうがいいですね。

構成=工藤千秋

一栁 若菜(ひとつやなぎ・わかな)
あいおいニッセイ同和損害保険 執行役員

1982年、大東京火災海上保険(現あいおいニッセイ同和損害保険)入社。2014年、同社理事に就任。湘南支店長を経て、17年から執行役員となり、現在は埼玉地区を担当。

坪井 純子(つぼい・じゅんこ)
キリンホールディングス 常務執行役員

1985年、キリンビール入社。ビール、清涼飲料のマーケティング、広報などを長く経験する。2014年からキリン執行役員、19年にキリンホールディングス常務執行役員に就任。

安森 一惠(やすもり・かずえ)
クレディセゾン 取締役

1994年、クレディセゾン入社。キュービタス途上管理センター長、クレディセゾン信用企画部長、クレジット事業部長、戦略人事部長を歴任。2019年に取締役に就任。

石川 愛里(いしかわ・あいり)
一休 メディア事業部事業部長

2017年、一休へ入社とともに、メディア事業部長に着任。トラベルWEBマガジン「一休コンシェルジュ」、エグゼクティブのための店探しグルメメディア「KIWAMINO」の運営責任者。