お金持ちが次に目を向けるのは……

資産1億円を築いた人の中には、株式で特定の銘柄に集中投資をして、一気に資産を増やした人が多い。そんな人が次に目を向けるのは不動産だ。

昔であれば、国債の利回りが7%以上あったので、増やした資産を国債に回す人が多かった。1億円を国債に投資すれば、毎年700万円以上の利子を受け取ることができたから、それでも十分だったわけだ。

しかし、いまは確定利付きで安全に投資できるものがない。定期的に収入を得るインカムゲインを狙うなら、不動産が選択肢となる。

「コロナショックで追い込まれ、不動産を慌てて処分している人もいますから、一部で価格が下がっています」

一方でいまは、不動産を買える人は少ないので、ライバルが少ない。その意味ではチャンスと言えるかもしれない。このように、お金持ちは常に人とは逆を行っているのだ。

ただし、融資は厳しくなっているので、昔のように会社員でも購入できる状態にはない。融資が受けられるのは、所得が高い人や現金だけで買えるくらいの金融資産を保有している富裕層に限られるという。

では、これから資産形成をしていく人は、アフターコロナを見据え、どんな投資をしていけばいいのか。

日本の景気は18年後半から後退していた

まずは、自分のとっているリスクが適正かどうかを判断したほうがいいという。

「もう一度、コロナショックと同じくらいの下落があっても耐えられるかを考えてみてください」

“心の安定が保てない”と感じるのであれば、リスクをとりすぎている可能性が高い。株式など値動きの大きい資産の比率を下げて資産全体のリスクを下げておいた方がいいだろう。

その上で景気の大きな流れを知る必要がある。

「コロナショックよりも以前から景気はすでに後退局面に入っています」

景気の現状を知るための指標に景気動向指数の「CI一致指数」がある。この数値は18年にピークとなり、それ以降は下降が続いている。

景気の循環

普通の人におススメの投資は……

景気が後退しているとき、一般的には株価や不動産価格が下落する。しかし、各国政府は異次元の金融緩和を行い、資産が下落しないように先回りして対策を講じてきた。だから、景気は落ち込んでいるのに、株価が上昇するという不自然な状態が続いてきたという。

「現在のように政府がお札をどんどん刷って金融緩和しているときは、株式を買うのがセオリーです。ただ、今回の下落は新型コロナウイルスというアクシデントが原因だっただけに、安心して買える状況ではありません」

すべての資産を株式につぎ込むようなことはやめたほうがよさそうだ。

「いまのように先行きが不透明なときこそ、ドルコスト平均法を利用した積立投資が有効ですね」

新型コロナウイルスの感染拡大は収まっていない。すでに第2波が訪れていると言われ、これが収まったとしても、第3波も心配される。今後も上がったり下がったりを繰り返す展開になりそうだ。そんなときこそ、コツコツ積立投資をしていくのがいいという。

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向山 勇(むこうやま・いさむ)
ライター