子どもを産む使命があるがためのバイアス
その締めつけをいちばん強く感じていたのが女性でした。なぜなら女性は子どもを産むという性を持っているから。子どもを産み育てるために、ある一定の年月は子どもから離れられない。女性の生物的使命が大きな枠になっていたのです。
その枠のために女性は社会活動が制限されていたわけですが、現代はネットワークの発達によって移動せずに情報交換ができるようになったので、子どもを産むとか育てるといった枠自体が、それほど重要ではなくなってきました。
ところが人間の深い無意識の中に、それらはまだ根強く横たわっています。女性自身がそんな枠は要らないと思いつつ、DNAとして入っているものや生物学的に持っているもの、これが自覚なく自分を締めつけているわけです。今、人間はこれまで自分たちを守るために持っていた枠を打破しなければいけない時期に来ているのです。
自分の可能性を狭めているのは、自分のバイアス!?
多くの人が血液型による性格診断や星占いを信じているのはなぜでしょうか。それは、みんな自分の見方やあり方に自信がなくて不安だから。不安なことに枠があると、その中に入っていれば大丈夫と感じるのは、人間の弱さのあらわれなんですね。
これと同じようにバイアスは自分を守るためのものである一方、守りすぎることで自分の可能性や能力にふたをしてしまう恐れもあります。「私は女性だから」「子どもがいるから」……これが言い訳になるのです。女性の社会進出が進まない原因は、さまざまにありますが、実は女性自身のバイアスだという可能性もあるのです。
自分自身のバイアスに気づけば、ステージが上がる
「上司が認めてくれない」「この会社が悪い」「女性の先輩がいない」と外部環境に対して、いろいろな思いがわいたときこそ、自分自身を振り返ってみてください。もしかすると、知らず知らずのうちに自分をどこかの枠に入れているかもしれません。外部環境から自分を守ろうとしているのかもしれません。そういった枠から抜け出したときに初めて、自分自身の意識が変わり、新たなステージに上がることができるのです。
バイアスの強い職場環境は、社員の士気をくじく
とはいえ、やはり周囲のバイアスが女性が昇進したり、リーダーになったりするのを阻むこともあります。たとえば「そんなに女性が頑張らなくてもいいよ」「女性が上を目指すって大変でしょ」という考え方。これがバイアスなのです。
職場においてバイアスが強ければハラスメントになり、ハラスメントが強ければ、モチベーションがダウンします。このつながりを職場の人たちもよく理解しておいてほしいですね。