共働きだったら破綻していたかもしれない……
そうした悲痛にも似た叫びが相次ぐのも無理はない。3月から学校が一斉休校となり、ほとんどの学校がオンライン学習をスタート。子どもが学校に行かないことで、親子ともども一日中自宅で一緒に過ごす日々が今も続いている。この間、子どもがいない時間に済ませていた家事や買い物、友人とのランチや自分の趣味、習い事などに充てる時間が奪われた。
さらにオンライン学習では、低学年を中心に親の付きっ切りが必要となるため、自らの時間が失われたどころか、子どもの面倒にかける時間が一段と増す。感染リスクを心配しながら、家族のために連日、三食を用意し、子どもの世話をする。専業主婦・主夫家庭にとっても負担なのに、夫婦そろってワーク・フロム・ホーム(在宅勤務)をしている共働き家庭には、相当な負荷がかかっている。
仕事をしつつ、オンライン学習の子どもの面倒に忙殺される。そうこうしている間に、時間は着実に経過し、食事の時間が容赦なく訪れる。気晴らしやストレス解消も十分にできず、仕事の能率も向上しているのかどうか、皆目はっきりしない。こうした状況が長期間続いており、親の気力や体力も、かなり限界に近づきつつあるのが実情だ。わが家の場合、私が休職中で主夫であるため、何とか持ちこたえているが、米国でも共働きだったら破綻していたかもしれない。
悩ましい子どもたちの夏休みの過ごし方
例年、全米各地で開催されてきた宿泊型のサマーキャンプ(1週間から長いものでは2カ月程度実施)は中止となり、夏休みに希望を抱いていた親たちの頼みの綱も切れた。こちらも例年行われている、スポーツやダンス、音楽などを教える各スクール、教会や自治体、図書館などが主催するサマースクールは容認されているため、自宅から通っている子どもたちもいる。各スクールは、マスク着用や空気の入れ替え、室内への親の立ち入り禁止、手洗い励行など細心の注意を払っているが、多くの子どもたちが集うことには変わりなく、感染リスクがないとは言えない。
集団行動を不安視する親たちは、今回初めて行われているオンライン型のサマースクールにわが子を参加させ、ひと夏の思い出を少しでも積ませてあげたいと腐心している。スクール側もオンラインながらも工夫をこらしながら、語学やプログラミング、絵画、チアリーディング、サイエンスや芸術などを組み合わせたSTEAM教育などの実践に努めている。わが家でも通学型に入れることを一度は検討したが、安全性への疑念が払拭されず、オンライン型を連日受講中だ。
ただ、子どもが自宅にいることには変わりない。
筆者が暮らすニュージャージー州を拠点とし、米国大学への進学コンサルティング・カウンセリング、個別指導の家庭教師サポートなどに長年取り組む「フレックスラーニング」によれば、ほとんどの米国人が「サマーキャンプが人生で一番楽しい時間だった」と口をそろえるという。社会に出てからも激しい競争社会にさらされる米国人にとって、子ども時代のサマーキャンプはそれだけ貴重な経験を積ませてくれるということが、うかがい知れるエピソードだ。