作家・橘玲氏は、著書『女と男 なぜわかりあえないのか』で、“男女のちがい”について筆を進める。その上で、女性の活躍を推進しジェンダーギャップ指数を縮めるために必要なことは何かを考察している。氏が考察の根拠とするさまざまな研究の結果と共に、その内容を紹介する。

※本稿は『女と男 なぜわかりあえないのか』(文春新書)の一部を再編集したものです。

イライラして実業家に合わない悪い契約レポートに不満の上司
※写真はイメージです(写真=iStock.com/fizkes)

労働経済学で激しい議論がつづく「男女の競争」の研究

男女の社会的な性差を示す「ジェンダーギャップ指数」で日本は121位と世界最低クラスだが、男女平等がもっとも進んだ北欧諸国でも女性の平均的な収入は男性より低い。#MeToo運動発祥の地アメリカでも、政治家や企業の役員になる女性は男性より少なく、ヒラリー・クリントンは「ガラスの天井」と批判した。

男女がかんぜんに平等なら、収入も経営者の数も同じになるはずだ。──こう考えるのなら、法律上は平等でも「見えない差別」があるのだから、それを変えていかなくてはならない。

それに対して、競争に対する志向にちがいがあるとしたらどうだろう。