「完璧な家族」を目指さない

家族礼賛は、むしろ家族形成を妨げることにもつながります。家庭内ですべてを完結しようと思うと、それぞれが100%支え合える「完璧な家族」をつくらなければなりません。すると結婚のハードルが高くなり、結果として少子化も進んでしまいます。また、家族をつくらないと幸せになれないと考えていたとしたら、その考え自体が焦りや不幸感の元になることもあるでしょう。

一方、おひとりさまでいることにはデメリットがあるのでしょうか。よく挙げられるのは「他者との関わりが薄い」「老後が不安」といったこと。これらがおひとりさまに限ったことなのかどうか、現実的な側面から考えていきたいと思います。

まず他者との関わりですが、これは家族がいなくても、友達や職場の人、地域の人などと関係を結ぶことができていれば、それほど心配することはないように思います。

大事なのは、いざというときに助け合える相手がいるかどうか。こうした他者が身近にいて、困ったときに自ら声を上げられる人なら、すくなくとも「つながり」という点では、おひとりさまでも特にデメリットはないと言えるでしょう。

おひとりさまになって困るのは女性よりも男性

問題は、人間関係が希薄で自分から助けを求めないタイプ。一般的に、女性は友達をつくるのが上手で、悩みや困りごとも積極的にシェアしようとします。しかし、男性はその辺りが不得手な傾向があります。

自分の弱さをさらけ出せない、相談するのもされるのも敬遠するといった男性は少なくありません。特に、仕事一筋で会社の人としかつき合ってこなかった場合、退職すると他者との関わりが家庭にしか求められなくなります。このときに家庭がなかったら、かなり苦しい状況に置かれるだろうことは想像に難くありません。

既婚者でも、妻に先立たれた男性は早く亡くなる傾向にあります。よく問題になる孤独死も、女性より男性のほうが多いと報告されています。助けを求められる相手がいない、いても自ら声を上げない。その点を考えると、おひとりさまでいて困るのは女性より男性のほうが多そうです。

ただ、家族がいれば他者との関わりに悩みがないというわけでもありません。特に女性は、結婚・出産すると交友関係が狭くなり、その結果幸福度が下がるという調査結果があります。自分の時間が少なくなる上、それまでの友達とは夫や子どもの有無などで話が合わなくなり、自然と疎遠になってしまう──。家族のある人には、おひとりさまとはまた違う悩みが起こり得るのです。