常に最悪のシナリオも想定し、備えを怠らない
「お金持ちの中には、常に未来を予測しながら行動している人が多いのです。新型コロナウイルスに関しても、早い段階で感染の拡大を予測し、必要なものを購入しておいたようです」
お金持ちは、未来に対して常にいくつかのシナリオを想定し、どのシナリオが現実になっても慌てないように、備えをしているのだという。
クルーズ船のダイヤモンドプリンセス号が横浜港に入港したのは2月3日だった。その2日前に香港で下船した乗客が新型コロナウイルス感染症の陽性であることが判明したため、日本政府は横浜港での下船を認めなかった。
その後は連日のようにダイヤモンドプリンセス号の様子が報道されるようになったが、国内での感染拡大を想定する人はまだ少なく、マスク不足などは表面化していなかった。
お金持ちの人たちはこのころから、最悪シナリオとして国内での感染拡大を想定し、必要になると思われるものをある程度、備蓄しておいたということだろう。
いつでも生活レベルを落とせるのが真のお金持ち
実際に品切れが広がってからでは打つ手もなくなってしまう。スーパーマーケットに買い物に出かけたとき、長い行列ができていても、ある程度の備蓄があれば、「もう少し様子を見よう」と考えることができる。
行列に並ばざるを得ないか、少し様子を見る余裕があるかでは、ストレスの度合いは大きく変わるだろう。また、行列に並ぶことによって感染するリスクもあったわけだ。
実際に感染が拡大してからは、消費の引き締めも素早かったという。
「家計の引き締めをされている方が多いですね。とはいえ、やみくもに出費を抑えるわけではありません。抑えるべきものとそうでないものを明確に切り分けています。真っ先に減らしたのは外食費(外食ができなかったので当然ではありますが……)。何かあれば、いつでも生活レベルを落とせるのが真のお金持ちです。逆に家族の夢の実現に影響を及ぼす教育費などの節約は考えません」
お金持ちの心配はストックよりフロー
お金持ちの女性の中には、起業して会社を経営している人も多い。資産(ストック)はある程度持っているが、この局面において、収入(フロー)が確保できるかは不安な面がある。
「従業員には休業や退職してもらいい、不足する分を家族で補うなど、行動も早かったですね」
実は「高収入=お金持ち」ではない。年収が1000万円を超えていても、ほとんど貯蓄がない世帯も少なくないのだ。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)」によると、世帯年収1000万円以上1200万円未満の世帯で金融資産の保有額が100万円未満の割合は13.7%に上る。世帯年収が1000万円以上でも7世帯に1世帯がほとんど貯蓄できていないことになる。