温かい会議を作る3つのポイント
最後に忘れてはならないのが、⑤の「温かいつながり」をつくることです。
新型コロナウイルス流行のような状況では、誰もが多くの不安を抱えています。「会議で目標を共有する」「仲間の意見を聞く」「自分の意見を述べる」ことができる良質な議論は、参加者のつながり強め、意欲を高めることができます。上手に進めれば、心のケアにつながる「元気になる会議」にすることができます。
そのためには、Zoom会議を、全員にとって安心できる場にすることが大事です。特に今回は休校措置のため「在宅でオンライン授業を受ける息子とWi-Fiの取り合いになった」などの声も聞かれました。また、幼い子どもがいる家庭では、会議の途中に離脱せざるを得ないという人もいたようです。
Zoom会議の途中で誰かが抜けてしまっても、ファシリテーターはそれぞれの事情に理解を示し、「いつでも戻ってきてください」という姿勢を取りましょう。ホワイトボードに意見が書いてあれば、復帰した時に議論の流れを追うことができるので、すぐにまた参加することができるでしょう。
画面越しに理解や温かさを示すには、表情と言葉が重要になります。おすすめしたいのは、「笑顔で話す」「意識して名前を呼ぶ」「感謝の言葉をかける」の3つ。メンバーの発言後に、笑顔で「○○さんありがとう」と言うだけでも、その会議はぐっと温かい雰囲気になるでしょう。
Zoom会議の成否がチーム力の差に
Zoom会議を仕切るコツというテーマでお伝えしてきましたが、これらは営業やプレゼンなどにも通じる技術です。日常業務を通してトレーニングを積んできた人も多いのではないでしょうか。ファシリテーターを務める際は、それらの経験を総動員して、みんなが力を出しやすい環境をつくるようにしてください。
コロナショックは会議のスタイルを大きく変えました。第2波や第3波も心配される中、もうリアルの会議だけの時代には戻れないでしょう。そうなると、Zoom会議で成果を出せるチームと、そうでないチームの差はますます広がります。
今、大切なのはリフレクション(振り返り)です。緊急事態宣言で在宅リモートワークに突入した時、「これからはオンラインでつながっていこう!」と意識合わせをしてキックオフできたチームは、その後のコミュニケーションもスムーズでした。しかし、それができなかったチームもたくさんあります。
だからこそ今、チームで「何がうまくいったのか。どうすればさらに良くなるのか」を振り返ることが大切です。それが、第2波に向けたキックオフにもなります。ぜひ振り返りを行い、より良いZoom会議を目指してください。
構成=辻村洋子 写真=iStock.com
2003年に会議の技法「ホワイトボード・ミーティング(R)」を開発し、効率的、効果的な会議の普及やファシリテーターの養成、チームマネジメントのスーバーバイズなどに取り組む。『元気になる会議─ホワイトボード・ミーティングのすすめ方』、『人やまちが元気になるファシリテーター入門講座』など著書多数。