「ただ集まる」だけではうまくいかない

Zoom会議は、ただ集まるだけではなかなかうまくいきません。会議の進行を通して参加者がつながれるよう、工夫することが大切です。

「つながり」というと抽象的な表現に聞こえますが、まず、参加者全員が、今何について話しているかを把握し、同じ目標に向かって歩もうとする姿勢を持つところから始まります。そして、たくさんの意見を目標に向かって収束させ、結論を導き出していくうえで重要な役割を果たすのが、司会進行役である「ファシリテーター」です。ファシリテーターは会議で参加者のつながりをはぐくみながら、効率的かつ効果的に話し合いを進行します。

ファシリテーターは「問いを立てる人」

リアルの会議でもZoom会議でも、ファシリテーターは、必須と言っていいほどの存在です。ファシリテーションの技術は、経験を重ねるうちに自然と得られますが、もちろん意識的に練習をすればより早く的確に身に付けられます。ポイントとなるのは次の5つです。

Zoom会議ファシリテーションのコツ
①冒頭で「ゴールと見通し」を明確に伝える
②皆が発言したくなるような「問い」を立てる
③議論の内容をホワイトボードツールで可視化する
④時間をかける部分とかけない部分を見極める
⑤「温かいつながり」を意識する

①は、会議の冒頭や次の議題に移る時などに意識したいことです。

会議には、報告を聞くだけのものから意見回収や意見調整、アイデア出し、合意形成、振り返りなどさまざまな目的とパターンがあります。これが明確に共有されないと、参加者は何を話し合えばいいのかわからず、議論も散漫になりがちです。ファシリテーターはまず、今から始まる話し合いの目的とパターンを明確にして、参加者が安心して対話できるよう心がけましょう。

②は、特にキモとなる部分です。ファシリテーターの主な役割は、「問いを立てる」こと。問いの立て方によって、会議の進行は大きく変わります。

参加者の意見を引き出したいとき、全員に向けて「何か意見はありますか?」と呼びかける人も多いですが、もう少し具体的な問いのほうが、意見が言いやすいでしょう。例えば、「○○さんは××についてどうお考えですか?」といった問いかけです。

さらに、同じような質問であっても、「○○さんは××の強みは、何だとお考えですか?」と、ポジティブな面を聞く問いかけと、「○○さんは××の課題は何だと思いますか?」のように、ネガティブな面を聞く問いかけの2つが考えられます。どちらがより発言しやすいかを考えて使い分けるとよいでしょう。

問いの立て方に習熟するためには、まずは「この人が進行するときの会議は議論が進むな」と思う人を見つけて、観察してみるところから始めるのがおすすめです。意識しているとコツが見えてくるので、良いと思ったワザを取り入れていきましょう。