「私が明日いなくなったら、みんなが路頭に迷うようでは意味がない。確かな技術をエチオピアに根づかせることが私の願いです」
今では、職人たちの腕は国内トップレベル。それを誇りに思うと同時に「みんなには世界のトップを目指してほしい」という野望をも抱く。
帰国中の楽しみは居酒屋!
トラブルは多々あり、停電など日常茶飯事。それでも、ろうそくをともし、鼻歌交じりに作業を続ける職人たちと過ごす日々は満ち足りている。エチオピアを拠点とした暮らしに退屈はしない。しかし、時々日本食が無性に恋しくなる。
「帰国中の楽しみは居酒屋さん。気さくなせんべろ系のお店も大好きで。ゆっくりお酒を飲んでいると、日本にいるなあって実感できるんです」
屈託なく笑う鮫島さんは自然体で、人生の豊かさにあふれていた。
▼My Favorite
一日の始まりはコーヒーから。お気に入りの豆をひいて味わうコーヒーは、行きつけのショップで購入するエチオピア産のアラビカ種を愛飲。「フローラルな香りと豊かな風味が大好きです。日本へ帰国するときも忘れずに豆をスーツケースに詰め込んで、ひきたてを味わっています」
初対面のときでも緊張がほぐれるやわらかい革の名刺入れ
5年間愛用しているシープスキンの名刺入れ。「もとから柔らかい革なのですが、使っていくうちにどんどん風合いが増して。握りしめると、その優しい手触りに癒やされて、初対面の人に会うときでも緊張がほぐれます」
世界中どこへ行くにも美しく機能的な時計を持参
「CHANGEMAKERS OF THE YEAR」受賞時の記念品。「手のひらにすっぽりおさまるコンパクトサイズで、目覚ましもついて機能的。見た目も美しく、眺めているだけで癒やされます。海外出張のときも持参します」
構成=安井洋子 撮影=枦木 功
東京都生まれ。化粧品会社勤務の後、2002年にボランティアとしてエチオピアとガーナへ。ファッションやデザインに関するプロジェクトに多数携わる。帰国後、外資系企業を経て、12年にandu ametを設立。15年、エチオピアの工房を現地法人化。18年、東京・表参道にコンセプトストアをオープン。製品は大手航空会社のファースト・ビジネスクラス機内などでも販売。