両親が健在でも葬儀社を訪ねてみる
良心的な葬儀社に依頼できるかどうかで葬儀の成否が決まるといってもいいほど、葬儀社選びは重要なこと。葬儀社にも得意・不得意があり、担当者との相性も無視できないポイントとなる。
葬儀社は行きあたりばったりで決めるのではなく、前もって複数社を比較検討しながら、事前に選んでおくのが葬儀社選びの基本であり、失敗しないコツでもある。
「わが家の方針」として、自分たちの伝えたい要望がまとまったら、ぜひ葬儀社を訪ねてみてほしい。日常生活の中で、葬儀社を訪ねることはハードルが高いかもしれないが、訪問してみることで、ホームページではわからないことが見えてくるはずだ。また、地域の式場や安置施設の情報などを最もよく知っているのはその地域の葬儀社なので、葬儀社選びとセットで情報収集もできる。
もしも不愉快な対応をされたら、そこに依頼しなければいいだけのことだ。良心的な葬儀社には共通する5つの特徴があるので、チェックポイントとして覚えておきたい。
まず大事な特徴が「相談者の話を優先して聞く姿勢」を持っていることだ。こちらの話をよく聞き、その思いに沿った内容を提案する葬儀社は信頼できる。反対に、話をろくに聞かず一方的に自社のプランの説明ばかり「売り込む」ような葬儀社はやめたほうがいい。
次に、「葬儀一式の費用」ではなく実費を含んだ総額の見積書を出すのは最低限として、その説明がわかりやすいかどうかは大切なポイントだ。わかりやすさは、その葬儀社がどれだけ消費者の視点を持っているかのバロメーターなのだ。複数の会社を訪ねれば、わかりやすく説明する会社に必ず出合えるはず。専門用語を多用するなど説明がわかりづらい場合は、あなたの理解力がないのではなく、葬儀社の対応に疑問を持つべきだ。
入会の特典はあくまでオマケ
3つ目の特徴は「契約や入会をせかさない」こと。入会するとさまざまな特典が受けられる「友の会システム」を持っている葬儀社は多いが、その特典はあくまでもオマケであって、葬儀の内容とは無関係と割り切ろう。良心的な葬儀社は入会をせかさない。短時間の説明で入会を求められたら要注意。
前述した「その人らしいこだわり」を葬儀で表現したい人に特に重要なのが「施行事例が豊富」かどうか。標準的な仏式の葬儀であれば、どの葬儀社でも対応できるが、標準を超えたこだわりがあれば、それが実現可能かを見定める必要がある。例えば、趣味の写真を展示したいとか、希望の祭壇のイメージを伝えたとき、経験豊富な葬儀社であれば、それまでの実績から、イメージに合うような実例写真を見せながら話を聞いてくれるだろう。
最後に、これは主観に委ねることになるが、担当者との相性は決して無視できない重要なポイントだ。好感の持てる相手にはささいなことも質問しやすく、ちょっとしたことも頼みやすいが、合わない相手はすべてがストレスとなる。
複数社の比較検討で迷ったときには、金額よりも担当者の対応が良い葬儀社を優先して選ぶことをおすすめする。筆者のところに来た相談者のことを振り返ると、葬儀前までは費用を一番気にしていた人でも、葬儀後の満足度には費用の話は出てこないことがほとんど。多くの人が、葬儀費用の高い安いよりも、葬儀社のスタッフの対応の良しあしで満足度を語る。そのくらい、担当者の質は大切な目安なのだ。