コロナ休校で、遠距離教育は広がったか

学校教育制度の中に、これほど遠距離教育が根付いているオーストラリアですが、コロナ休校では、実はそれほど活かされているようには見えませんでした。

私が住むクイーンズランド州で、休校が始まったのは3月30日です。学校はもともと、4月4日から19日まで「秋休み」(イースター<復活祭>に合わせた休暇)が予定されていたので、多くの人たちは「秋休みが終わるころには再開するだろう」と思っていました。

しかし、秋休みが終わってもコロナは収束せず、そのまま休校が続きました。ただし両親とも在宅勤務ができない、医療従事者やスーパーの従業員などの「エッセンシャルワーカー」の子どもや、貧困、育児放棄の可能性があるなどのリスクがある子ども、心身の障害などで特にサポートが必要とされる子どもたちだけは、通学が認められていました。

「こんなときこそ遠距離教育システムを活用しては」と思うかもしれませんが、ことはそう簡単ではありません。オーストラリアの遠距離教育は、遠距離教育校だけで行われていて、日ごろほかの小学校、中学校や高校で実施されていたわけではありません。遠距離教育校で培われてきたノウハウやリモート教育の仕組みが、他の学校に共有されているわけではないのです。そこは「宝の持ち腐れ」と言えるかもしれません。

「IT教育先進国」オーストラリア

遠距離教育校以外の学校での、休校中の学習についての対応はさまざまでした。日本では、コロナ休校で学校現場でのIT環境整備の遅れに注目が集まっているようですが、IT環境が整ったオーストラリアの学校でも、休校中に必ずしもオンライン授業が行われたというわけではありません。学校や先生によって大きな開きがあり、そこは日本と似た状況だったと言えるかもしれません。

実はオーストラリアは、「IT教育先進国」の一つ。2008年に当時の首相が提唱した「デジタル教育改革」が始まり、2010年時点では既に、6~7歳の子どものうち約29%は、国語、算数、理科の授業で週3回以上コンピューターを利用。週1~2回利用する子どもは約50%おり、合わせると約80%を占めていました。また図工ではデザインやアニメーション作成、音楽では作曲などにもコンピューターが活用されてきました。

2015年にOECD(経済協力開発機構)が発表したデータによると、学校には子ども1人あたり1台のコンピューターがあり、加盟国平均(5人に1台)を大きく上回っています。ちなみに現在日本の国公立小中学校のパソコン普及率は、5.4人に1台です。