部員間で成約数に大きな差が出てきている
──営業スタイルが変わると新人教育にも変化が起きそうですね
当社では、新人の商談には上司が同席するのですが、リモート商談でスケジュール調整が簡単になりました。加えて、商談を録画して後でレビューしたり、教材として使ったりできるので、新人教育の面でもいい効果が生まれています。
ただ、目指すゴールは全社員が対面営業と非対面営業の両方をできるようになることです。対面営業では新人教育、リモート商談では社員間のITリテラシーの差など、今後の課題は少なくありません。
当社では、3月初旬に首都圏での対面営業をストップしました。それ以降の業績を見ると、成約が40件だった社員もいれば0件だった社員もいます。ITを活用できているか否かで、それだけの差がついているわけです。この差は対面営業が再開できれば埋まっていくでしょうが、0件の人は何がネックになっているのか。この点は今後しっかり検証していく必要があるでしょう。
私としても課題をクリアしていくため、2週間に1度は現場と会議を行い、問題や要望を吸い上げています。これを本社に持ち帰って話し合い、現場へフィードバックする。この繰り返しと現場の努力によって、目指すゴールに着実に近づいていければと思います。
コロナが無ければリモート商談などありえなかった
──ただ、日本企業には新しい働き方に抵抗のある人も少なくありません。そうした、いわゆる「昭和上司」にはどう働きかければいいのでしょうか。
私も50代後半で昭和の人間なので(笑)、最初はリモートワークに抵抗がありました。しかし実体験を通して、仕事を進めるのに何の支障もないこと、対面に比べて非常に効率的であることに気づきました。今では、働き方においてこれほど革新的な手法は他にないと思っています。
リモートワークに抵抗のある人には、やはり実際に体験してもらうのがいちばんだと思います。今、当社では対面での飲み会が禁止されていまして、代わりにオンライン飲み会が行われています。私も参加していますが、とても楽しいですよ。こうした楽しい部分から体験してもらってはどうでしょうか。
今回のコロナ禍は危機的な出来事でしたが、働き方の進化という思わぬ副産物ももたらしました。この出来事がなかったら、当社はリモート商談など間違いなく導入していなかったでしょう。
リモート商談では、忙しい方や遠隔地の方など、これまで時間的・費用的に寄り添えなかったお客様ともつながることができます。従来の対面営業に、この新しいスタイルをプラスすることで、お客様に選んでいただけるチャンスも増えるのではと期待しています。
構成=辻村洋子