なぜ日本はオンライン後進国なのか
よく、アメリカなど海外先進国の方が日本よりオンライン教育が数年進んでいると聞きます。確かに、欧米では大学院などでオンライン授業が進んでいたりします。しかし、幼稚園や小学校などの低年齢の教育はどの国も準備不足でした。シンガポールの学校も準備をし始めたのは早い学校でも今年2月の旧正月後です。
シンガポールにある日本人向けの習い事や日本語のサポート校なども準備をしていたわけではないのにオンライン授業に切り替えています。また、東京にあるシンガポール系列のインター校、イートンハウス東京代表のアンリ・タン氏に聞いたところ、「3日間スタッフが残業をして、多大なる努力の元にオンライン授業を導入した。今は親のフィードバックを得ながら、毎日改善を行なっている」ということです。日本の塾や、日本にあるインター校や私立校でもオンライン授業は導入できているのです。
どこもコロナ・ショックの前に準備ができていたわけではありません。完璧ではない形でも子供達から学ぶ場を奪わないために、まずできることからやるという姿勢が大切なのではないでしょうか。日本政府はオンライン学習の開発に向けて、2020年度補正予算案に調査研究費として1億円を計上しました。しかし、他国と比べて非常に遅い上に金額も十分ではありません。少子高齢化や多額の債務などの問題を抱える日本社会の歪みがこうしたところに影響するのでしょう。e-ラーニング導入は保護者側にも負担やデメリットもありますが、学習を空白にするよりはずっとよいでしょう。諸外国を見習い、今すぐにできる範囲で完璧でもなくても取り組むべきではないでしょうか。
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外資系投資銀行を経てFPとして独立。2015年からシンガポールに移住。『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』など著書多数。