苦手な人からのフィジカルディスタンシングが可能に
そして①について、「リモートワークで気持ちが安定する人が多かった」とお伝えしましたが、これは特に、職場に“苦手な人”がいる人にあてはまることでしょう。リモートワークによって、苦手な人=心理的に距離をとりたい人と、物理的にも距離をとることができているからです。
物理的な距離と心理的な距離、僕たちはこの二つの距離がちぐはぐになると、気持ちがつらくなります。たとえば満員電車で、全く知らない人と密着すると不快に感じるのは、心の距離が近くない人と物理的に距離が近くなるからです。
そういった距離感が今回のリモートワークで、だいぶ一致した。苦手な人と働いている人にとっては、かなり安心につながったと思います。
オンライン会議だと威圧的な人も存在感減退
リモートワークでオンライン会議が格段に増えましたが、苦手な人と働く人にとっては、このオンライン会議もポジティブに働きました。
画面を通して話し合うオンライン会議は、お互いに声をかぶせることは、マナー違反になります。一呼吸、二呼吸おいて、相手の発言を待つ必要があるため、これまで会議で発言力の強かった人が、うまく発言できなくなりました。威圧的な人が、うまく圧を出せなくなったわけです。
ですから、その場の空気に支配されませんし、同調圧力も生みにくくなりました。会議そのものに平等感が出るようになったのです。
そもそも威圧的な人というのは、年齢も高く、システムそのものを使いこなせなかったり、音声のタイムラグに慣れずうまくしゃべれなかったり、正直なところ、若者に劣るわけです。そういったことが露呈されてしまうことも、威圧を弱めるきっかけになっているのでしょうね。
サボっているかも疑惑は、みんなで共有して対処
そんなふうにリモートワークは苦手な人と距離をとれるといったプラス面もある一方、マイナス面もあります。それは不安の強い人は、仕事をしていることが証明できない分、「サボっていると思われるのでは」という心配が常につきまとうことです。
いつ電話がかかってくるかわからないという不安感から、トイレに行くときも電話を手放せない人もいます。
これは多かれ少なかれ誰もが疑われること。誰でも容疑者になり得る問題ですので、社内やチームでひとつの問題点として共有して、対処してほしいと思います。