「新型コロナウイルス」を「牛乳」に例えると
では「新型コロナウイルス」を、どういったイメージで理解すればよいでしょうか?
そもそもウイルスは油とタンパク質と核酸のかたまりで、生き物ではありません。身近なものでは牛乳に近いイメージです。
牛乳をスプレーボトルに入れてスプレーしたところを想像してください。ピシャッと飛んで、目の前の机に付いたら、白い細かいしぶきがついて、やがて乾き、机にカピカピの白い点々が残ります。そこを触ると、手に微細な牛乳のカスがつきます。この手で鼻や口を触ると、呼吸のたびに吸い込んだり、食べて喉に付いたりして肺に入ります。これが、「ウイルスを含んだ唾液の飛沫が物に付着して感染する」というパターンです。
さらに、牛乳をスプレーボトルではなくミスト製造機に入れてみましょう。牛乳のミスト(霧)は、黄砂や花粉のように風に乗って遠くまで飛んでいったりしません。感染者の鼻や口から飛び出しても、数秒から1分程度で消えてしまいます。飛んでも屋外だとせいぜい2メートルくらいでしょう。ただし、換気の悪い密室では簡単に消えず、数時間ただよい続けられることがわかっています。(「2メートル」「数時間」はあくまでも目安で、実際はもっと長い場合もありえ、走っている人からは10メートル離れたほうがよいというデータも出ています。)
ウイルスを「壊す」には
ウイルスは、立体構造が維持されていなければ、病原性がなく、感染する力を持ちません。
例えば、加熱してウイルスを破壊すると、立体構造が壊れて病原性が失われます。牛乳を温めすぎると分離しますが、あのイメージです。
石鹸の界面活性効果も、ウイルスの油を壊します。さらに、洗い流すことによってウイルスを物理的に遠ざけることができます。また、アルコールはウイルスの油を溶かしますし、過酸化水素はウイルスの油やタンパク質を壊します。いずれの方法でも病原性がなくなります。
96時間(4日間)放置すると、ウイルスが自然崩壊します。新型コロナウイルスは、現在発表されているデータによると、常温で96時間(ただし、マスクの表面では7日間)後までには病原性を失うとされています。