より高度な資格には専門実践教育訓練給付金

MBAや看護師など、高度な専門職を志す人を支援するのが、「専門実践教育訓練給付金」だ。

対象者の要件は、一般、特定と同じ(ただし、はじめて給付を受ける人は、被保険者期間2年以上の人が対象)で、前回の受給から3年以上経過していれば、何度でも受給できる。

給付を受けるには、事前にコンサルティングを受け、就業の目標、職業能力の開発・向上に関する事項を記載したジョブカードの交付を受け、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講する必要がある。

対象となるのは、MBA、看護師、介護福祉士、美容師、調理師、歯科衛生士、社会福祉士、言語聴覚士、キャリアコンサルタント、保育士、栄養士などの教育訓練で、給付期間は2年間だが、資格取得に繋がる場合は最長3年まで延長される。

給付額は受講の場合と、資格を取得した場合で異なる。受講では費用の50%で、受講期間が1年では40万円、2年では80万円、3年で120万円が上限となる。さらに資格取得などをして、修了から1年以内に雇用された場合は、給付が手厚くなり、費用の70%が給付される。上限は受講期間1年では56万円、2年では112万円、3年で168万円と、かなりの額にのぼる。

具体的にどんな講習が対象になるかは、前述の「教育訓練制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座」の検索システムで調べられる。

新型コロナウイルス感染症対策のため、教育訓練受講開始が延期されていることもあるが、通信やオンラインの活用した補習などもある。調べておこう。

離職者にはさらに手厚い給付金も

専門実践教育訓練給付金を受けた人で、2022年3月31日までにはじめて専門実践教育訓練を受講する、受講開始時に45歳未満の離職者である、などの条件を満たすと、加えて「教育訓練支援給付金」も受けられる。金額は、失業給付の基本手当日額の80%に、2カ月ごとに失業の認定を受けた日数を掛けた額となっており、個々で金額が異なる。

そのほか、自治体によっては、在住者や在勤者を対象に、資格取得講座を割安な料金で開催するなど、スキルアップを支援している例もある。例えば東京都では、主に中小企業で働く人を対象に、スキルアップや資格試験受験対策等の短期講習を低料金で提供している。住んでいる地域の自治体、勤務している地域の自治体をチェックしてみよう。

これからの時代。働けるスキルを増やしておくことは、働く女性にとって必須のテーマと言える。興味がある分野を学ぶのもいいし、さまざまな資格に挑戦して適性を見極めるものいい。そのための費用が補助されるのは非常にいい制度であり、しっかり活用して欲しい。

文=高橋晴美 写真=iStock.com

井戸 美枝(いど・みえ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP認定者)

関西大学卒業。社会保険労務士。国民年金基金連合会理事。『大図解 届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください 増補改訂版』(日経BP)、『残念な介護 楽になる介護』(日経プレミアシリーズ)、『私がお金で困らないためには今から何をすればいいですか?』(日本実業出版社)など著書多数。