実はこれからも変わらない運用の鉄則5つ
結局、株価の水準は短期間に大きく変わったかも知れないが、投資家がやるべきことや、その背景となる考え方には、大きな変化がないはずなのだ。大きな変動があった後なので、基本的な手順を確認しておこう。
(1)手取り所得の中の必要額(サラリーマン家庭で15%、フリーランスは25%くらい)を計画的且つ継続的に蓄える。
(2)生活費3~6カ月分を除いた「運用資金」を「リスクを取る投資の金額」と「リスクを取らない金額」に振り分ける。この際、リスクを取った運用の想定利回りは年率5%くらいだが、最大3分の1くらいの損があり得るので、損してもいい額の3倍が投資額の上限だ。損の評価については「360万円の損が老後(30年=360カ月)の生活費毎月1万円の減少に相当する」と考えると評価しやすい。
(3)リスクを取る投資額は外国株式と国内株式のインデックス・ファンド(株価指数に連動する投資信託。年率の運用管理費用が必ず0.3%未満のものを選ぶこと)に6:4で投資し、リスクを取らない金額は「個人向け国債変動金利型10年満期」と銀行の普通預金(一人一行1千万円までを守ること)に置く。
(4)iDeCo、NISA、つみたてNISAなどを家計に可能な限り大きな金額で使い、これらの口座には内外株式のインデックス・ファンドで運用する部分を集中させる。
(5)リタイアしたら、余命に余裕(10年くらい)を持った計算で資産を計画的に取り崩す。
資産運用で絶対にしてはいけない愚かなこと
現在、普通の個人にとって適切なお金の運用の方法は上記で尽きている。若くても、高齢でも、高額所得者でも、普通のサラリーマンでも、適切な方法は同じだ。
厳重に注意したいのは、運用商品の選択などを金融機関の窓口で「決して相談しないこと」だ。余計な営業行為を呼び込んで、手数料の高い不適切な商品(窓口で売られている外貨建ての保険や、手数料の高い投資信託は「全て」ダメだ!)を勧められてしまう。
金融機関の担当者に「私は客なのだから、丁寧に構って貰いたい」と思うのは愚かで且つ恥ずかしいことだ。自分で決めた投資を淡々と実行して、投資したら基本的に資産を「ほったらかして」おくことと同時に、自分自身を「ほったらかして」貰うことが、適切にお金を運用する「コツ」だ。