今回、なぜこんなに株が下がったのか?

まず今回の下落の理由です。一般的にはコロナウイルスのせいだと言われていますが、私はそうでは無いと思います。冷静に企業業績や経済指標を見ていれば昨年後半以降、日本の企業の業績はあきらかに低下傾向を示していたからです。特に10月の消費税増税以降は消費の落ち込みは明らかでした。にもかかわらず株価は上昇を続けていました。株価というものは短期的には必ずしも経済の実体を正確に表すものではありませんから、こういうことはよくあることで、買われ過ぎや売られ過ぎで株価が上下に振れ過ぎることは十分起こりえます。米国もやや状況は異なるものの同じような状況です。

したがって、今回のコロナウイルス騒動は本来割高だった市場が下げるきっかけになっただけのことでしょう。ではなぜ、コロナウイルスが下げるきっかけになったのでしょう。それは「わからないものに対する恐怖」です。現時点でコロナウイルスに関してわかっていること、それは、1)感染力はかなり強い、2)でも死亡率は低い、3)高齢者や持病を持つ人は悪化しやすく、最悪は死に至ることもある、4)特効薬はない、5)予防には手洗い、うがい、そして免疫力の強化が有効、といった特徴です。これって何かに似ていませんか? そう普通の風邪と同じです。でも単なる風邪とは言い切れない、まだわからないことがたくさんあるので厄介なのです。今後どのような展開になるかは今のところ読めません。いずれ収束するだろうとは思いますが、それがいつになるのかはわかりません。

今後のさらなる急落は考えにくい

そんな状況の中で政府も感染拡大を防止するためにさまざまな施策を打ち出してきています。学校の一斉休校や、大規模イベントの自粛といった、さまざまな活動を制限する方向です。これは感染拡大を防ぐためにはしょうがないことですが、こうした経済活動の縮小は経済にとってはマイナスの影響を与えることは間違いありません。

したがって、今回の下落による調整は少し長引くかもしれません。ただ、過去の大きな下落を見ているとだいたい直前の高値から30~40%ぐらい下げたところで止まるという傾向があります。今回も既に30%ぐらい下げていますから、ここからさらに下がることはあっても、今までのような下げ方は無いでしょう。