サステナブル意識の高いフレグランス

自然環境と、使う人の健康どちらにも配慮している「FUEGUIAフエギア 1833」は、2010年ブエノスアイレスで創業。約100種類の香りが歴史・文化・人物からインスピレーションを得た深遠なストーリーを背景に持つのが魅力だ。そして今もっとも注目すべきは、最高峰の自然原料を厳選し、調査から香りの考案、調香、製造、包装、そして販売にいたるまで、全工程に責任を持ち、そのすべてを調香師ジュリアン・ベデルが統括していること。これにより創業以来、一貫したサステナビリティとオリジナリティの軸は決してぶれることがない。

さらに、すべての香りは入手可能な原料分で生産するリミテッド・エディションで、パルファンのクリスタルボトルにはシリアルナンバーを刻むという徹底ぶり。ミラノのラボラトリーでは1200種以上の原料に合わせてカスタマイズされた機械を揃え、そこに熟練の技術を持った職人たちの細やかな手作業が加わることで、まるで芸術作品ともいえるようなフレグランスが生まれている。このように香りを生み出すまでの開発はもちろん、箱の製造や包装などを行うファクトリーも併設しているという。

また、多くの香料や化粧品に含まれる多環式ムスクを一切使用しないのも「FUEGUIA 1833」のこだわりだ。合成ムスク、またはPCMともいわれる多環式ムスクは、これまでも河川や海洋に住む生き物に害を与える物質としてたびたび議論されてきた。人間の体内に残り、環境ホルモンとして問題が指摘されている側面もある。それらを一切排除し、自然界で完全に分解できる植物性の原材料に限定し、代わりに抽出の過程に手間と時間をかけることで自然にも生命にもやさしいフレグランスが誕生したのだ。

ブランドの環境への取り組みはこれだけではない。2014年には自社のボタニーを開設し、5ヘクタールのプランテーションに100種類以上の芳香を持つ植物を育てることに成功。自然に配慮した抽出方法を徹底することで環境への負荷を軽減、研究調査も行っている。

豊かさとサステナビリティは両立できる

自身の癒やしが自然を傷つけるものであってはならないし、また反対に、自分が我慢することで環境を維持しようとするのも本当のサステナビリティとはいえない。私たちがこれからめざすのは、自己も他者も心地よく、地球環境に配慮できる生き方であり「持続可能な」未来に向かいながらも、個々が最高に快適なポイントで健やかに生活すること。今がまさにそのポイントを探り当てる過渡期のような時代なのかもしれない。

豊かさとサステナビリティは両立できる。そんな理想を体現してくれる「FUEGUIA 1833」のフレグランスは、私たちの未来のあり方の見本となってくれるだろう。また、そういったブランドの存在を知り、信頼できるモノを選ぶ消費活動こそ、私たちが「地球のために今すぐできること」にほかならない。

FUEGUIA 1833 東京本店
店舗
東京都港区六本木6-10-3
グランドハイアット東京1Fロビー内
TEL:03-3402-1833
www.fueguia.jp
直営店ではフラスコを手に取りフレグランスを直接香ることで、ムエットによる紙ごみをなくし、繊細で奥深い本来の香りを試すことができる。
乙部 アン(おとべ・あん)
フリーエディター/執筆家

新ファッションウェブマガジン「LIV,」女性ファッション誌のフリーエディターをしながら執筆家としても活動、いくつかの連載を掛け持ちする。アメブロやnoteなどのブログでは、大人の女性に役立つファッション・仕事・サステナブル・ライフスタイル・独自の人生哲学を発信。