まだ「サステナブル」という言葉さえなかった30年以上前から、環境や資源を考え活動していたファッションデザイナーのキャサリン・ハムネットさん。サステナブルな取り組みをはじめたときの苦悩や、女性リーダーとしての責任、そして私たちが今すべきことについて、プレジデント ウーマンだけに特別に語っていただきました!
ファッションデザイナーのキャサリン・ハムネットさん

環境問題への取り組み当初は、周囲から罵倒され……

——エシカルファッションの先駆者といわれているキャサリン・ハムネットさん。サステナビリティの取り組みを始めてからは30年、そしてデザイナーとしては昨年40周年を迎えた。そんなキャサリンさん自身が地球環境やサステナブルに意識を高く持ったのはいつ頃からで、何がきっかけだったのだろうか?

【キャサリンさん(以下:K)】祖母は1908年に生物科学の学位と博士号を取得した最初の女性でしたし、私の生い立ちにおいて自然と社会に目を向けてはきましたが、子どもを持ったことは大きかったわ。衣類、繊維、フットウエア産業の社会的および環境的影響を調べ、悪夢のような状況が明らかとなった1989年のリサーチが契機となったんです。

——ファッション業界で成功しても、産業とサステナブル精神の狭間でどこか違うと感じ、心から喜べなかったというキャサリンさん。アパレルや繊維業界が環境にどれだけの影響があるかを調べた当時、ファッションという巨大産業が地球上のすべての生命を脅かすような未来が来ると確信したのだという。

では、サステナビリティの意識をファッションブランドに反映した当初は、周りの反応はどのようなものだったのか?

【K】完全に扉は閉ざされていた、というより鼻先でピシャリと閉め出されたと表現したほうが正しいわね。それは、まったくの無関心どころでは済まされなかったから。

「あなたのためだけに、わざわざオーガニックコットンなんてつくる必要があると思っているのか?」とか、イタリア最大手のとある製造会社からは「こんな馬鹿げた理念やら、環境問題の戯言たわごとを繰り返すなら、さっさとコレクションをたたんで消えてくれ」とまで言われたの。

サステナビリティの意識をファッションブランドに反映