投資で失敗しても切り替えが早い

「過去のことに引きずられる」のも悪影響を及ぼす。たとえば、「100万円で購入した株式が30万円に値下がりしたのに手放せない」というのは典型例。取り戻すことができない過去の損失に囚われて、将来の損失を許してしまう。

「未来が見えなくなっているのは貧乏神が住み着いた証拠ですね」と藤川さん。

「楽な儲け話に目がない」人も貧乏神に取りつかれていると思ったほうがいい。たとえば、「FXで1億円」「ラクラク不動産投資」などといった本をたくさん読んだり、宝くじを毎回買っていたりする。時間とお金を浪費していることに気づかず楽に儲けることばかり考えている。

「1億円貯めた人は、投資を始める前にしっかり勉強しているので、リスクがあることは十分に理解してリスクを管理しようとします。だから、失敗しても大きな失敗になりにくいですし、気持ちを切り替えて失敗を次に生かすことができるのです」

節約で1億円貯めた人に“一点豪華主義”の人はいない

藤川さんは、1億円貯めた節約タイプの人に、自分へのご褒美が好きな人や一点豪華主義の生活をしている人はいないと言う。一点豪華主義は一見節約タイプの特徴のようにも思えるが、無駄なお金を使っているのに「必要な支出」と正当化してしまい、アンタッチャブルな聖域をつくってしまう危険が潜んでいる。「1億円貯めた人は、支出に聖域をつくりません。とくに趣味やブランド品に関する支出が極めて少ないのが特徴です。それに、聖域をつくってしまうことが夫婦喧嘩の元になることもよくありますね」

先送りばかりしている人も貧乏神に好かれる。結婚費用や教育費の準備は早く始めるほどいい。頭ではそれがわかっているのに先送りしてしまう。結局、期限が目の前に迫ってから始めるのでうまくいかない。

消費税率が上がり負担は増えたが、収入はなかなか増えない。それが現実だが、お金が貯まらないことを会社や社会の責任にしていても何も改善しない。家計に最もブレーキをかけているのは自分自身であることに気づくことが重要だ。他の人をうらやんだりせず、自分自身に目を向けて貧乏神を追い出すことこそ、お金持ちへの近道となりそうだ。

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向山 勇(むこうやま・いさむ)
ライター