「放牧型」は「完全なる自由」ではない
確かに、完全な放牧型で大丈夫な子と、そうでない子はいます。比較的生真面目な子であれば、放牧型でも自己管理能力を身に付けられるでしょうが、自由奔放タイプの子だと、「やったー!」とゲーム三昧になるでしょうね。
ただ、放牧型というのは、完全なる自由を意味しているわけではありません。対話が必要です。
「今日はどうだった?」
「どういうところがいいカンジだった?」
「どこが残念な感じだった?」
「残念だったところをなくしていくには、どうしたらいいんだろうね?」
「じゃあ、明日はそういう工夫をしながらやってみようか」
などと、じっくり話をして、子どもの気付きを促すのです。親の方も忍耐が必要です。
「マスト」意外はすべて「ベター」と考える
対話に加えてもう1つ重要なのが、「must(マスト)」と「better(ベター)」の視点を持つことです。マストの方は「しなくてはならないこと」、ベターは「できたらいいな、ということ」です。
まずは親自身が、自分に「子どもにとって、何がマストで何がベターなのか?」と問うてみてください。例えば、身の危険につながる「包丁を使わない」「火を使わない」「一人で夜出歩かない」などはマストでしょう。ほかにはどんなことがマストなのか。
そして、マストを定めたら、それ以外は全部ベターです。例えば、「朝、○時に起きる」というのは「起きなくてはならない」というマストではなく、「起きられたらいいね」というベターでいいのかもしれません。時間割は、「この通りにせよ。ここに書かれたすべてがマストだ」と言っているわけなので、マストだらけ。そこからできるだけマストを減らすのです。
最初はマストを多めにしても良し
ただ、心配性な親御さんだったり、自由奔放でちょっといいかげんなタイプの子どもであれば、最初はマストを多めにしてもよいと思います。そのほうが、親御さんの心の平和のためにも良いでしょう。例えば、一日中時間割通りに過ごすのではなく、午前中だけ時間割を作ることにしてもいいでしょう。子どもと対話しながら、少しずつマストを減らしてベターを増やします。
どこまでをマストにして、どこからをベターにするかは、子どもによって違います。
例えばわが家の場合、現在小4の長男はとてもしっかりしていて、小2の時から弟や妹のめんどうを見ながらの留守番ができました。とても安心感があり、信頼できます。彼については、マストはほとんどなくていい。
しかし、現在小2の2番目の娘は全然違います。とても留守番はさせられそうにありません。ずっとYouTubeを見ているでしょう(笑)。それに、そもそも留守番を頼んでも「ムリー!」と言いそう。彼女は長男よりもマスト多めです。
子どもによって違うとはいえ、できるだけマストを少なくしてベターを増やしていくことが目標であることに変わりはありません。やがて子どもたちは、親の元を巣立ちます。誰もマストやベターを決めてくれなくなり、自己管理をしなくてはならなくなる。突然の長期休校という「ピンチ」を、こうした視点を持って、自己管理能力を高めるための「チャンス」に変えるのです。