つい物事を悪いほうにばかり考えて自分が嫌になる……。直したいと思ってもなかなか直らない欠点、だれしも一つはあるのではないでしょうか。言語学・心理学・脳科学など様々な視点からコミュニケーションを研究する堀田秀吾教授が諦めていた欠点を科学的に解決する方法を教えてくれます。

※本稿は堀田秀吾『科学的に自分を変える39の方法』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

深い思考を離れて見ている若い女性
※写真はイメージです(写真=iStock.com/recep‐bg)

「ポジティブになろう!」とするのは逆効果

「もっと前向きに生きたらいいんだよ」「ポジティブな思考に切り替えれば人生が変わる」といった当たり前なアドバイスをもらったところでまったく腹落ちしない、そんな経験はありませんか?

それもそのはず、思考のクセを変えるのはなかなか単純ではありません。オスロ大学のロイサムらによる50~65才の1516組の双子(746組の一卵性双生児と680組の二卵性双生児)を対象にした調査では、3割程度が遺伝的要因で人生の満足度が説明でき、そのうち65%が遺伝的な性格によって決まっているとわかりました。つまり、ポジティブ思考かネガティブ思考かということは遺伝である程度決まっているということです。

さらに、ミシガン州立大学のモーザーらの実験では、ネガティブ思考の人に「前向きに考えなさい」と指示すると、脳が混乱して感情を司る部位が活性化し、余計に悲観的になってしまう! ということがわかっています。元からネガティブな人が「ネガティブをやめよう! ポジティブになろう!」と気合を入れたところで、逆効果ということですね。