アーチの部分はAワイズ以下だった

さすがに、そろそろフォーマルなパンプスが一足くらいないとビジネスでもプライベートでも困るのではと悩みぬいた結果、思い切ってオーダーシューズに挑戦してみることにしました。2019年、8月某日、婦人靴のオーダー専門店のHOSHINO BESPOKE SHOES ATELIERの戸を叩く。

まずは靴を脱いで、足の各所を細かく計測してもらうところから。

オーダー靴に挑戦
オーダー靴に挑戦
オーダー靴に挑戦

細部まで細かく計測する。足長が24cm、足幅はBワイズという結果になったのだが…。

一番足のサイズに近いB木型の靴を試着するが、日本の既成靴よりはかなりましなものの、どうもしっくりこない。つま先はぴったりしていても、足のアーチの部分がぱっくりと空いており、足が前に滑ってしまったせいで、踵にも隙間ができている。

オーダー靴に挑戦

Bワイズのセミオーダー用仮靴でも、アーチ部分と踵に大きな隙間ができている。

同店代表の星野俊二さんはうなる。

「うーん、細いですね……さらに足のアーチのところがめちゃくちゃ細いですね…ワイズ的にA以下……となるとセミオーダーではサイズがないんです。フルオーダーでないと」

……ううむ、わが規格外の両足よ、まさかそこまでとは。フルオーダーだと木型からなのでさらにお値段が張る。ただ一回作れば、同じ木型でその後も応用が効くそうなので、今回は必要な自己投資と思ってトライしてみることにしました。しかし、そこまで特殊なのか私の足。昔から多くの靴のプロにアジア人より欧米人の足に近いと言われてきたのだが、星野さんに聞いてみると、

「欧米人でも地域によって足の形は全然違いますよ。木下さんの足はスペイン人に近いですね」。

そういや昔、旅行で行ったドイツの靴屋で同じようなことを言われて、スペイン製の靴をまとめ買いしたっけ。足以外の部分も(ついでに性格も)何かと日本人離れしてると言われる私、数百年前くらいのご先祖様は地中海沿岸の遺伝子が入っている方かもしれません。

オーダーするなら、やっぱり昔からの憧れのポインテッドトゥのパンプスにしたい。これこそ何回試着しても歩けるものにあったことがないが、フルオーダーなら私でもさっそうと履きこなせるものができるはず……と自信たっぷりに提案した私に、星野さんから待ったがかかる。

「ポインテッドトゥで踵もつま先もある靴は結構上級者向きですよ。一回目は無難なスクエアでつくってみて、それで余裕で歩けるくらいになってからチャレンジされることをお勧めします」。いかにかっこよくても実際履けなくては意味がないので、そういたします。ヒールも不慣れなため、これまた無難な5センチに決定、細すぎて前に滑りがちな足を支えるストラップをつけてもらうことに。計測したデータを基に木型をつくり、3カ月後に仮靴ができる。そこで試し履きして調整、さらに3カ月後に仕上がりの半年コースである。(後編に続く)

HOSHINO BESPOKE SHOES ATELIER

住所 東京都中央区日本橋小網町11番9号
ザパークレックス小網町第2ビル6F
電話 03‐4405‐6673
営業時間 10:00~21:00(完全予約制、土日祝は20:00まで)
定休日 月曜日 火曜日
https://hoshino-bespokeshoes.jp/
フルオーダーは木型99000円 本体74000円~、セミオーダーは74000円~

撮影=澁谷高晴

木下 明子(きのした・あきこ)
プレジデント ウーマン編集長