世界の経済発展に女性活躍が欠かせないのは自明の理。女性にその潜在能力があることは、歴史を振り返ってもわかります。今回は圧倒的なリーダーシップで、自国の経済発展に寄与した女王たちをご紹介。現代の女性活躍につながるヒントを見つけていきましょう。
エリザベス・I
※写真はイメージです(写真=iStock.com/GeorgiosArt)

見た目だけじゃない! クレオパトラのスゴイ腕前

クレオパトラ(クレオパトラ7世。BC69~30)は、エジプト・プトレマイオス朝の最後の女王(在位BC51~30)です。その美貌ばかりが取り沙汰されますが、統治の手腕は見事だったそうです。内政的には官僚組織をしっかりとコントロールし、外交面では地中海世界の多言語を流暢に使いこなす語学能力の高さと美貌で、カエサルやアントニウスを魅了し、王国維持に必要な強国ローマの後ろ盾を得ました。さらには経済面では、通貨価値の切り下げ政策を実行し、エジプト経済を支えていた輸出を大いに促進させたようです。牛乳風呂や毒蛇に身を咬ませて自殺した話ばかりが有名ですが、かなり有能な人物だったみたいですね。

稲作農耕発展の立役者は卑弥呼

卑弥呼(生年不明。没年242~248)は、弥生時代末期にあったとされる、邪馬台国の女王でした。『魏志倭人伝』によると、邪馬台国は約30の国々からなる倭国連合の都でした。当時の日本は稲作農耕が定着し、生産力が向上したせいで人口が増えて新田開発が求められた結果、土地をめぐるトラブルが多発し、いさかいが絶えませんでした。そこで倭国連合の首長たちは、邪馬台国の支配者・卑弥呼を、連合全体の女王として擁立したのです。

なぜ彼女に白羽の矢が立ったのか? それは彼女が巫女(シャーマン)だったからです。農業に必要なのは自然のコントロール。つまり古代の農業国にとって、神に祈りを捧げる祭事は、まつりごとそのものだったのです。

卑弥呼の経済的な貢献は、2つの点から稲作農耕を発展させたことです。1つは、絶対的なシャーマンとして倭国連合のいさかいをなくした点、そしてもう1つは、中国との外交を重視した点です。

魏志倭人伝』で「親魏倭王」と呼ばれた卑弥呼は、中国・魏との外交を重視しました。なぜならこの時代、青銅器や鉄器の原材料は、大陸からしか得られなかったからです。

この外交重視のおかげで、この時代は農具の鉄器化が進みます。つまり卑弥呼は、いさかいをなくしただけでなく、生産技術の向上にも貢献した女王だったのです。卑弥呼のおかげで稲作農耕が栄えたなんて、すごいですよね。