慰謝料は、男性にも半分払わせることができる

それでは既婚者であることを知りつつ不倫していた場合、相手の奥さんからいくらくらいの慰謝料を請求される可能性があるのでしょうか。基本的には支払い能力に応じた金額になりますが、不倫の結果、先方が離婚すると、慰謝料額はさらに高額になります。

不倫関係を解消した結果、先方が婚姻を維持することになった場合は、150万円くらいが相場ですが、不倫が原因で離婚にまで至ったときの慰謝料はおよそ300万円。離婚はしないものの、「男性が2人の子供を捨てて女性の家に転がり込んだ」というような場合は200万円程度です。

妻から慰謝料を請求された場合、これを自分一人で払ってしまう女性もいるかもしれません。しかしもとはといえば、既婚の身でありながら不倫をした男性にも非はあるはずです。実はこのような場合、「求償」といって、奥さんに払った慰謝料の半額を男性にも請求できる権利が発生します(厳密には双方の積極度に応じて請求の割合が変わります)。たとえば不倫をしていた女性が奥さんに100万円の慰謝料を払ったなら、男性にその半額の50万円を負担してもらうことが可能なのです。

奥さんからすれば、同一の家計から50万円が移動しただけですから、バカバカしい話ですが、不倫をしてしまった女性にしてみれば、慰謝料が半額で済む。このことは覚えておいてほしいと思います。

28歳の不倫が多い

よく言われることですが、ほとんどの男性は口では「妻と別れる」と言いますが、そう簡単にはいかないのが現実です。一度結婚した妻と別れるというのは、本当に大変なことだからです。それなのにそんな相手にしがみついてしまうと、あっという間に何年も空費してしまい、幸せは遠のく一方でしょう。

不思議なことに私のところに不倫の相談に来る女性は、なぜか28歳の人が多い。

古い考えですが、28歳というのは女性が最も結婚に焦る時期だといわれています。結婚観は人それぞれとはいえ、そんな大事な時期に既婚者と恋愛をするというのは明らかに判断ミス。しかも不倫には相手の奥さんという被害者が存在します。できればそのような愚は犯さないでほしいと切に願います。
 

写真=iStock.com

齋藤 健博(さいとう・たけひろ)
弁護士

2010年慶應義塾大学総合政策学部を経て15年慶應義塾大学法科大学院修了。同年司法試験合格。16年弁護士登録、虎ノ門法律経済事務所所属。18年慶應義塾大学法科大学院助教。2019年銀座さいとう法律事務所開設。離婚や不倫など男女問題に強い。