「ウチにはお金がない」と伝えてもいい

教育費はかけたほうがいいのかという問いに戻ると、少なくとも「お隣もかけているからウチも」ということはなくていいのではないかと思います。それぞれの家計に合った負担でいいでしょうし、子供が何かを「やりたい」と言った時、お金がなければ「うちにはその余裕はないの。ごめんね」と言ってもいい気がします。親がムリをして親の家計が崩れてしまったら、結局そのしわ寄せは子供にいきかねません。親がニコニコできなければ、子供は不安になって、かえって逆効果ではないでしょうか。夫婦喧嘩をしようものなら、なおさらです。

それでも本当に子供がやりたいと思えば、子供なりに考えて、何か道を探すかもしれません。

大事なのは教育費の「かけ方」

私自身はお金のない母子家庭で育ち、「やりたい」ことはあまりやらせてもらえませんでした。小さい頃から塾には行ったことがありません。奨学金を借りて大学を出て、卒業後には奨学金を返還しつつ、授業料は親に返しましたので、親の私の教育費負担はほとんどゼロです。

“あぁもっと小さい頃にいろんな経験ができていたら、もっと違った人生だったのではないか……”と思ったことも何度もありました。が、おかげさまで経済的には自立していますし、周りの方々のおかげもあって、今の環境にとても満足しています。なので、「これでいい」と思っています。おそらく精神的にも強くなっていると思いますし、多少のことではへこたれないと思います。

何を良しとするかは人それぞれなので、私の例がオススメというわけでは決してありませんが、教育費をかけるという通り一辺倒ではなく、自分の家計に合った教育費のかけ方というのを、それぞれの家計が、当の子供も含めて作り上げていくといいのではないかなと思います。知識はないよりもあった方がいいでしょうから、教育費を多くかけるなというのでもなく、大事なのは「かけ方」なのだと思います。