移動しながら働く人が増える
テクノロジーの進化により、クラウド上での受発注も多くなっています。デザインやイラストなど、成果物が明確に見える職種にとってはなじみやすく、今後も広がっていくでしょう。ただし、クラウド上だけで仕事をすることが、本当に人にとって楽しいことなのだろうか、という疑問もあります。
私は、これからの時代、新しい働き方をする人はどんどん移動するようになるだろう、と考えています。
「逆ではないか?」と思う方もいるかもしれませんね。クラウドを利用すれば、離れた場所に拠点があるクライアントとも仕事ができる、実際に動く必要はない、と。
よく在宅ワーカーとリモートワーカーを混同している方がいますが、リモートワーカーというのは動く存在。物理的に動くことで、知の循環、労働の循環がよくなり、ムーブメントが沸き起こる。地方は強烈に人材を求めています。たとえば、週に2日地元の企業でマーケティング戦略を担い、週に3日は東京の企業で働く。
こうした働き方は自身のキャリアにもつながりますし、同時に地方創生にも寄与するものです。
実際に弊社登録のプロ人材の中にも、全国各地で20のプロジェクト・3つの自治体をプロデュース、住む場所も東京から移すなど、場所にとらわれず活躍している方がいます。
いよいよ女性からの発信が大事になる
2020年は「女性×新しい働き方」というのも、いよいよ大きく広がるだろうと思います。在宅ワーク、リモートワーク、クラウド、スキルシェア、副業・兼業、パラレルワーク。さまざまな選択肢が出てきています。とくに子育て中の女性にとっては、在宅やリモートでの働き方は生産性を上げ、限られた時間のなかでも力を発揮できる働き方だといえるでしょう。
ただ、これまでを振り返ってみると、女性の活躍を含めた多様性が企業の成長にとっても大切である、ということがわかっていながらも、なかなかすぐには変わっていけない現実もありました。
企業の視点からみれば、将来の経営陣候補として、まず経営陣のパートナーとなったり、部長、部門長のパートナーとなることができる知的人材は喉から手が出るほどほしいはずです。2020年には、こうした役割を担う方々からムーブメントが起きてくるのではないか、と考えています。
土壌ができつつあるなか、女性自身がさまざまな情報を得ながら、自分自身のストーリーを描いていくフェーズに入ってきていると思います。そして、そうしたオンリーワンのストーリーをSNSなどのツールを通じて発信していく。それが新しい働き方を拡充するエンジンになっていくと思います。
構成=浦上 藍子 写真=iStock.com
1982年生まれ、静岡県出身。新しい働き方を追い求め、学生起業、家業の清算、会社員としての管理職、パラレルワーク、社内起業を経験する。学生時代に複数の事業を立案し学生起業家となり、パラレルワークを実現。21歳のときに、地元の進学塾を経営していた父親が意識不明となり、10年間に渡って、父親の介護を余儀なくされる。父親が経営していた企業は継続不可能となり、自身の手で会社の清算をすることとなる。その経験から企業経営には「金」以上に「人の経験・知見」が必要であるという考えにたどり着いた。2014年株式会社サーキュレーションを設立。プロフェッショナル人材の経験とスキルを複数社で活かすプラットフォーム(プロシェアリング)を運営している。2020年現在、経営プロフェッショナルのネットワークは1万3000人、導入企業は1500社を超える。