変わる“イケてるキャリア”の定義

以前は、「大手企業で年収1000万円以上!」というような肩書が、いわゆるイケてるキャリアでした。これからは、「どの領域に専門性を持っていて、どのくらいの時間でどんな成果を出せるか」ということが重視される時代に入っていく。能力の高い人が1社に縛られず、複数の会社で働くことができたなら、労働に関する係数も倍増するわけです。知見が循環し、市場は活性化します。

ギグの時代に備えるためには、「自分の仕事において生産性の高い時間は何か」ということを、より突き詰めていかなければなりません。会社員であれ、フリーランスであれ、プロジェクトで働く状態をつくることが重要になるでしょう。自分の働き方のなかで、ギグとして切り取れるものは何か、それにおいて自分はどうなりたいのか。

単発で価値発揮をするギグ・エコノミーの視点で自分のスキルを見直した時に、単なる労働力の提供にとどまってしまいそうだと感じたら要注意です。自身のキャリアや働き方を見つめ直すタイミングかもしれません。

成功の鍵は、オンリーワンプランニング

さまざまなメディアで新しい働き方やその成功例が紹介されています。しかし、それは全員がこのやり方でやれば豊かになれる、幸せになれる、という世界ではありません。プロ人材の方と話していて痛感するのは、自分のスタイルを見つけることの重要性です。

これからは、自分のスキルを定義し、セルフブランディングしていくこと、それ自体がキャリアにつながる時代です。なぜやるのか、どうなりたいのか、なにができるのか、自分の仕事についてのwhyとwill、そしてgiveをかためる作業をするのが、まさに今、2020年の私たちの課題といえるのではないでしょうか。

そのために必要なものは、何でしょうか。幸いなことに、寸暇を惜しんでバリバリ働くことではありません。キモとなるのは、「知性」と「情報」。

バリキャリじゃないとナレッジが蓄積できないかといえば、そんなことはありません。世界中の本がAmazonで手に入り、リカレント教育のプログラムは以前より格段に充実し、マネー教育、人材教育、SDGs教育などは無償で受けられるものさえある。

知の探究をすれば、自分の意思や価値観がどこに向いているのかが見えてきます。

理解が足りない上司と2時間粘って関係性を構築するより、その2時間を自分の価値観の変容のために使ったほうがいい、とすら私は思います。