ネット銀行の定期でインフレに備える

ネット銀行はメガバンクより預金金利が高いのもメリット。たとえば定期預金の1年物で比較すると、メガバンクは0.01%だがネット銀行では0.2%のケースもある(12月14日時点)。100万円を1年間預けた場合、前者は100円の利息だが後者は2000円と差は歴然としている。

国内では物価がジワジワ上昇しており、将来インフレになる可能性もある。そのとき資産を現金で保有していると目減りしてしまうから、インフレを予想するならインフレに強い資産に乗り換えておくと安心だ。

インフレに強い資産として代表的なのは株式や不動産だ。物価が上昇すると、商品の価格も上がりやすくなり企業の売上も増える。企業の利益も増えれば株価が上がる仕組みだ。不動産は現物資産の一種なので、物価が上昇すると価格が上昇する。

しかし、投資経験のない人にとっては、株式投資も不動産購入もハードルが高い。その場合には、定期預金で備える方法もある。世の中にお金がたくさん出回ることでインフレは起こりやすくなる。インフレを抑えるには中央銀行は金利を引き上げてお金の量を少なくしようとする。そのときは預金金利も上昇する。それを上手に活用すれば、お金が目減りするのを抑えられるという。

1年定期でフレキシブルに

藤川さんのおすすめは、金利が比較的高いネット銀行で1年程度の定期預金を利用することだ。3年あるいは5年の定期預金を利用すれば、もう少し金利は高くなるが、現在のように低金利のときは、期間の短いものに預けて金利が上昇したら預け替えができるようにしておきたい。

もう一つの方法は、変動金利の商品を利用して金利が上がったときの恩恵を自動的に受けられるようにしておくこと。代表的な金融商品は個人向け国債の「変動10」。期間が10年の国債で最低0.05%の金利が保証されている。また、将来金利が上昇すれば、適用される利率も上昇する仕組みになっている。1万円から購入できるし、発行後1年以上経過すれば中途換金しても元本割れはない。他に有利な預け先が見つかればいつでも乗り換えが可能というわけだ。

金利が高くなったら、今度はできるだけ長期のものに預けて金利を固定するのがおすすめ。このように金利情勢に合わせた運用戦略が必要になる。

写真=iStock.com

向山 勇(むこうやま・いさむ)
ライター