時間をかけて信用を積み上げていく

櫻井さんのイメージアップは、鯖バーガーの注目につながり、イベントに合わせて数々のコラボ商品が生まれた。メディアでも取り上げるようになり、一緒に記念写真を撮った著名人が自発的にSNSで紹介してくれることで、人が人を呼んだ。

イベントは月7~8本は開催している。

話題性が増すごとにフォロワーの数もうなぎ上りで、インフルエンサーとしての影響力を見込まれ、企業からのPR案件なども舞い込むようになった。そんな櫻井さんの成長を喜び、前に勤めていたアパレル会社の社長が、1日20万規模の人が集まる野外イベントでの出店に口添えしてくれたりもした。

極め付きが、クラウドファンディングの成功だ。自分を引き上げてくれたオーナーに恩返しがしたいと、MK-CAFÉのリニューアル資金を募ったところ、1週間で300万、最終的に1060万円もの支援金が集まった。

「お金は、私ひとりで集めたものではありません。MK-CAFÉのスタッフそれぞれが、店での出来事を継続的に発信し、応援してくれるファンを増やしてきました。そうやって時間を掛けて積み上げてきた信用が、お金に替わったのだと思っています」

誰でも真似できる、3つのポイント

一般の人が持つ、インフルエンサーの華やかなイメージとは裏腹に、フォロワー13万人の裏にはこうした地道な努力があった。

「SNSは、始めてしばらくは鳴かず飛ばずの時期があります。手応えが得られるまでに少なくとも半年はかかると思います。私もアドバイスをいただきながら『毎日少しずつ』を何百回と繰り返してきました。そのアドバイスの一つが、毎朝決まった時間にあいさつの投稿をすること。投稿を習慣化することが難しい場合は、あいさつの投稿だけはしっかりやるというところから始めてみてもいいのではないでしょうか」

櫻井さんは、地道な努力を続けること以外にもう2つ、SNS活用のポイントを話してくれた。

「SNSを活用する目的をしっかりもつことが大切です。私たちの場合、フォロワー数を増やすことが目的ではなく、どれくらいお店に来てくださるか、どれくらいイベントに参加してくださるかを大事にしています。そしてもう一つのポイントは、SNSはチーム戦ということです。MK-CAFÉは、ほかのスタッフもそれぞれにフォロワーが多いインフルエンサーですが、イベントを開催するときなどは、互いに送客しあって相乗効果を出しています」

商品やサービスのマーケティングの一環として、SNSの活用やイベントの集客で工夫をしたいと考えている人には参考になるはずだ。