認知能力(IQ)は将来に大きく影響する
高いIQが将来の成功(所得)や幸せと大きく関連するという研究報告は多数あります。例えば、カリフォルニアの学童25000人の中から高IQ児1500人を選出し、その後の彼らの成長を追っていくという膨大な研究データがあります。その結果、児童期のIQは、30歳の時のIQとほぼ代わりがなく(IQの恒常性と言います)、高IQの人は、全米上位7%以内に入る高所得者となっていました。これらの結果から、学童期のIQの高さは一生の幸福へのパスポートである、というIQ神話が誕生します。その影響は日本でも大きく、小学校受験などでIQテストが導入される時代もありました。
今日では、認知能力(IQ等)よりもgrid(やりきる力)などの非認知能力の重要性が指摘されますが、重要なことは、「子供の頃のIQが人生の大半を決める」ということが神話(事実でない)なのであって、「児童期のIQがその後も人生と全く関係ない」ということではないのです。
認知能力(IQ)は、非認知能力同様に重要な要素であることに違いはありません。高いIQと高い学業成績は関連していることが数多く証明されています。また、上述のように、IQは恒常性を持ち、7~10歳(18歳とする研究成果も多数ある)の時のIQがその後のその人のおよそのIQである、ということもわかっています。
さらに、児童期の低IQは、青年期の非行行動、10代での妊娠率、暴力行動といった事と関連するだけでなく、将来の心臓病、脳卒中、ガンなどの死亡率の高さと関連しているという研究も2017年にイギリスから発表されています。その理由として、高いIQの人の方が、健康知識が豊富で喫煙率が低く、良い職場環境にいる一方、低IQの人は、喫煙率が高く、化学物質が多いなど悪い職場環境に身を置いていることが多いことを挙げています。