社会保険の適用拡大の議論が活発になっている。その狙いの一つは年金保険料の負担を免除されている第3号被保険者を極力減らすこと。そもそもなぜこの制度が存在するのか、制度ができた時代背景から読み解いていく。
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社会保険の適用拡大はどこまで進むか

社会保険(厚生年金・健康保険)のパート労働者への適用範囲を拡大する政府内の議論が大詰めを迎えている。

すでに2016年の法改正で①従業員501人以上の企業、②週労働時間20時間以上、③月収8万8000円以上(年収106万円以上)④雇用期間1年以上見込み、⑤学生でないこと――の要件を満たすパートは強制的に加入することになっている。

今回は従業員500人以下の企業にまで拡大し、来年の通常国会に改正法案を提出する予定だ。2016年の改正では約40万人が社会保険に加入している。現時点では従業員数が「50人超」「20人超」「撤廃」の3案が出されているが、新たに適用される人数はそれぞれ65万人、85万人、125万人に増える見込みだ。

主婦パートが適用されると、当然ながら健康保険は夫の被扶養者保険から外され、勤務先の健康保険に加入する。年金は第3号被保険者から外れ、厚生年金に加入することになる。