そもそもドレスコードとは何か

ただ、昭恵夫人を批判することは簡単ですが、その前に自分自身がドレスコードについての基本を知り、実際に応用でき、その場に応じて柔軟に対応できているのか? 働くキャリア女性であるならば、それぞれの職場や、その日のスケジュールに相応ふさわしいドレスコードを自分自身で構築できるのか? を考えることのほうが大切だと思います。

そもそも、ドレスコードとは何なのでしょうか。ドレスコードとは、洋服を着る時のルール、規定です。もともとは西洋貴族の間で、教養を表すためのマナーとして発達し、当時の貴族たちは、その時、その場に合わせて、多いときでは1日に10回を越えるほどの着替えを行ったといいます。日本ではTPOという言葉がありますが、TPOは、ブランドVAN「ヴァンヂャケット」の創業者「アイビールック」の生みの親である石津謙介氏が発案された和製英語で、Time(時間)、Place(場所)、Occasion(場合。Opportunityと使われることもある)の頭文字をとり、「時と場所、場合に応じた方法・態度・服装等の使い分け」を意味します。

ドレスコードは「特別な日」だけのものに

石津氏がTPOを発案しなければ日本のファッションは30年遅れたとも言われていますが、私自身22歳の時ファッションを学ぶ専門学校で石津先生の授業を受けたことがきっかけで、TPOについてもメンズファッションについても深く学ぶようになりました。しかしバブルが崩壊し、着飾るシーンなど皆無となり、ファストファッションが主流の市場となっていった時代、TPOという概念すらも廃っていった気配がありました。現代では、夏はクールビズでネクタイもしない男性ビジネスマンたち、そうなると女性のビジネス服にもラフ感が浸透。良くも悪くも、ドレスコードは特別な日だけのもの、となってしまったのです。この特別な日に値する、即位礼正殿の儀の服装に違和感を覚えた人たちが騒ぎ立てたのは無理もありません。