2つの罠から抜け出すには?

中嶋 輝『自己肯定感の教科書』(SBクリエイティブ)

でも、「どうしても忘れられない失敗の記憶」や「比較したくないと思っても気になってしまうライバルの存在」がある場合は、どうしたらいいのでしょう。

答えは、「そのまま放置して残しておくこと」です。過去の出来事も、他者も、あなたの力で変えられるものではありません。

変えられないものにとらわれるくらいならば、そのまま放置し、熟成させましょう。

ここでも重要なのは、自分で「変えられない過去には悩まない」「ライバル視している相手を変えることはできない」と納得することです。こうした場合はノートに「放置して残しておく」という考えを書き出すと効果が高まります。

自分で自分に「いいね」できればOK

自分で決めて、納得する。この手順を踏むことで、あなたは過去の失敗や他人との比較から脱することができます。なぜなら、私たちの脳は「ま、いいか」「なんとなる」と納得したことに関しては、自然と忘れていくようにできているからです。

比較対象とするのは、自分自身。あなたが出した成果と、その背後にある努力を知っているのは他の誰でもなく、あなたなのです。

自分で自分に「いいね」を出すことができれば、無理に高めようとせずとも自己肯定感は高まっていきます。そして、結果的には失敗してしまったとしても、「この部分はよかった」「この部分は修正しよう」と、次の成長につながるポイントが見えてきます。

自分で自分に許可を出して動いているとき、私たちは「自分の人生にYES」と言える状態にあります。目を閉じてみて、そんなふうに思えている自分を思い描けたら、大丈夫。あなたはきっと「自分にハナマル」をあげられる人に変われます。

写真=iStock.com

中島 輝(なかしま・てる)
心理カウンセラー

自己肯定感アカデミー代表、トリエ代表。困難な家庭状況による複数の疾患に悩まされるなか、独学で学んだセラピー、カウンセリング、コーチングを10年以上実践し続ける。「奇跡の心理カウンセラー」と呼ばれメディア出演オファーも殺到。著書に『何があっても「大丈夫。」と思えるようになる自己肯定感の教科書』『書くだけで人生が変わる自己肯定感ノート』『自己肯定感diary 運命を変える日記』(すべてSBクリエイティブ)、『1分自己肯定感 一瞬でメンタルが強くなる33のメソッド』(マガジンハウス)、『習慣化は自己肯定感が10割』(学研プラス)などがある。