なぜ青森市は「コーヒー飲料への支出日本一」か
人口約28万人の青森市のデータからは、どんな消費者心理が読みとれるでしょうか。
・「コーヒー豆への支出」=全国13位(1位は京都市)
・「コーヒーへの支出」=全国24位(1位は京都市)
※総務省統計局「家計調査」飲料データ:都道府県庁所在地・政令指定都市、2016年(平成28年)~2018年(平成30年)の平均
まず、コーヒー飲料(缶やペットボトル飲料)の支出が全国トップに注目しました。一般にコーヒー関連の支出は、喫茶文化が有名な岐阜市や名古屋市(都道府県庁所在地・政令指定都市)と思われがちですが、意外にも本州最北の県庁所在地・青森市が1位なのです。
ただし、それ以外は上位ではない。現地の関係者に聞いても、明確な答えが見つかりませんでした。筆者は、手軽に飲める飲料としての利便性に加えて、県内の他の主要都市である弘前市や八戸市に比べて、「青森市民の所得の落ち込み」が影響していると考えています。実際「青森市民は15年前に比べて平均で2ケタ以上の収入減」という調査結果もあります。
この仮説を裏づけるように、外食代への支出も総じて低く、出費を抑えています。そんな中で上記の数字は健闘しており、「コーヒー好き」といえるかもしれません。
「家庭用アイス」が5000億円市場になったワケ
もう一つ、興味深いデータをあげてみましょう。
少子高齢化や消費者意識の変化で、ビール市場などの食品は伸び悩んでいますが、年々市場が拡大している分野があります。全国各地のスーパーやコンビニで買える、家庭用「アイスクリーム市場」もそのひとつです。
2018年度のアイス市場は5186億円(メーカー出荷ベース)と過去最高を記録しました(日本アイスクリーム協会調べ)。5000億円の大台を超えたのは2年連続となります。
少し前までアイス市場は、記録的な猛暑で需要が伸びた1994年度の4296億円がピークで、それを上回る年は20年近くなかったのです。筆者は以前から取材していますが、当時、関係者からは「あの年は猛暑だったので特別」という意識もありました。
ところが2013年度に4330億円と記録を更新すると状況が変わり、6年連続で過去最高を更新したのです。取材結果では、大きく次の2点が、市場の拡大要因となっています。
・消費者意識の変化
例えば「暑さしのぎ」の要素が強かったアイスが、冬でも売れる「通年型商品」に近づいてきました。各メーカーが秋冬に1個200円以上の「プレミアムアイス」も訴求。最需要期の夏に天候不順で売り上げが伸びなくても、暖房の環境が整った室内で食べる、冬の売り上げ増で落ち込みをカバーする年もあります。
一方、昔は「子どものおやつ」だったアイスが、近年は「大人のスイーツ」にも変わりました。人数の多い団塊世代など、一時はアイスから離れた世代も戻ってきています。プレミアムアイスでも生ケーキに比べれば安いので、プチぜいたくとしても利用されています。