意外と重い「無料」の間接的な損失

また、このように余計なものや割高なものを買わされるというのはいわば支出が増えるという、「直接的な損失」につながるわけですが、「間接的な損失」も生まれます。それは無料の品物であればもらわなきゃ損とばかりに家に持って帰ってくるうちに家の中にそうしたものが溢れかえってしまうことです。何もしなくても物が増えるのに、無料でもらった品物は放っておくとどんどん増殖していくことになります。大豪邸に住んでいるのであればともかく普通に狭い日本の家に住んでいると使わないもの、不用なものまでも無料で貰ったからといってとっておくのはスペースの無駄で案外馬鹿になりません。次に「断捨離」する時まで家には無駄なものがあふれることになりかねません。

昔の人のことわざである「タダより高いものはない」というのは良く言ったものです。全くそのとおりで、無料につられて得したつもりが結局損をしてしまっていたり、もっと大きな利益を逃してしまったりすることに気を付けるべきでしょう。

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大江 英樹(おおえ・ひでき)
経済コラムニスト

大手証券会社に定年まで勤務した後、2012年に独立し、オフィス・リベルタスを設立し、代表に。資産運用やライフプランニング、行動経済学などに関する講演・研修・執筆活動などを行っている。近著に『定年前、しなくていい5つのこと』(光文社新書)など。