働く女性が苦しむ、公私のマウンティング

働く女性の場合、両方の歪んだ場に参加せざるを得ず、社交の場では男性からマウンティングを受け、プライベートでは女性からマウンティングを受けるということも起こるのです。男性が多い場では締め出されたり、嫌がらせを受けたりすることもあり、逆に女性が多い子供関連の場では、持ち物からネイルまで見られて自分と同じグループに属するかフィルタリングされるのに、いざグループに入ってもなかなか必要な情報がシェアされない、といった二重苦に苦しむこともあるものです。私も出産をし、子育て中に○○さんのママと呼ばれ「名前を失った」経験があります。その時は自分自身ではなく、子供や夫のスペックで比べられる機会が多く苦い経験をしました。本格的に仕事復帰した後は子供がいることなど言い訳にできず、男性と同じ土俵で戦わなければなりません。日本の男性社会のマウンティングも女性社会のマウンティングと種類が違うものの壮絶です。

学校行事に来られない親もサポート

私が住んでいるシンガポールでの社交の場は日本とは比べられないほどジェンダーフリーです。男性社会の日本出張の後にシンガポールの社交の場に行った際には安心をして涙が出そうになりました。他国の大使や会社経営者なども向こうからあいさつをしてくれ、仕事のことなども聞いてくれ対等な話ができるのです。閉鎖的な日本から帰国すると、こういった誰に対してもフレンドリーに接してくれる風通しよい環境は当たり前ではないのだと感じさせられました。

また、学校行事でも、シンガポールでは男性の参加率が日本と比べるとかなり高いです。パートナーの女性が大企業の管理職で、男性の方がスタートアップ企業の経営者で時間に融通が利くので、男性が学校行事に多く参加をするという家庭もありました。土日も家族全員でブランチに行くといった生活が一般で、パパだけゴルフといったことはあまりないのです。逆にパパが単独で子供を連れて出かけ、ママは休日にリラックスという状況はよくあります。

また、学校などの情報もEメールやアプリなどで全員に均等に送られ、忙しくて見落としていても講師や保護者がサポートしてくれます。学校行事に両親が来られない家庭に対してもスタッフなどがサポートしてくれます。忘れ物をしても学校の物を貸してくれるなどのサービスがいきとどいており、子供のドレスコードが間違っていても特に何も言われない(常に数人は間違えていることが多い)など保護者に優しいです。

要するに、シンガポールは多様性や家庭環境の違いを考慮してサポートしてくれる社会で、日本のように「専業主婦とサラリーマンの夫」が前提になっていないのです。他の先進国やアジアの国と同じく、同国で専業主婦はすでに絶滅危惧種で、主婦であったとしても家業の手伝いやボランティアなど何かしらしている家庭が多いからです。また、シンガポールのような多民族、多人種の国家だと、それぞれの考え方が違い過ぎるためにお互いが寄り添って協力し合い仲良くする必要性が出てくるわけです。