3歳児神話という虚構
保育園と幼稚園は、管轄している省庁が違いますし、その目的も違います(保育園は、厚生労働省管轄であり、保育をするための児童福祉施設なのに対し、幼稚園は、文部科学省が管轄をする教育施設)。0~2、3歳までの子供を保育園などに預けている母親にむけられる「そんなに小さい時から子供を預けて……」というネガティブな見方の背景には、「3歳になるまでは母親が子育てをしないとその子供に悪い影響が出る」という虚構(3歳児神話といわれ学術的・科学的な根拠がない)があると考えられます。
では、「保育園児と幼稚園児ってやっぱり違うのよね」は果たして真実なのでしょうか? 通う園の特徴、子供を預ける時間の長さ、家庭環境……などの要素の中で、どのようなことが実際の子供の発達に大きく影響するのでしょうか?
70年代は保育園児を否定的に捉える研究も
日本でも、早期に母子分離を経験した子供は情緒的不安を示す、として、保育園児を否定的に捉える研究が多数報告されていました。ただしこれは、1970年代までがほとんどです。そして、これらの研究は、実験的環境に限定された結果であり、日常生活における子供の適応などを正しく反映したものではないという意見も多く述べられていました。
その後、1980年代に入り日本の公立・私立幼稚園児、公立保育園児211人を対象に行った実験では、自立・自主性、と神経質傾向に、幼稚園児と保育園児で差があることが報告されています。保育園児は自立・自主性(自分の身の回りのことを自分でやる)が幼稚園児より低く、神経症傾向は、保育園児より幼稚園児のほうが高かったのというのです。