2019年の母の日市場は、前年に比べて推計約35億円も増加したと言われています。イマドキの親子関係は、母の日・父の日ギフトの売り上げにも影響を与えているのでしょうか。若者が親に贈るギフトの値段や親とのコミュニケーション手段、そして親子2人用の商品アイデアまで、原田曜平さんが6人の若者に聞きました。
※写真はイメージです(写真=iStock.com/CatLane)
座談会メンバー
塩田 亜多夢くん/慶応義塾大学3年生。実家暮らし。父は日本人、母は米国人でともに50代。よく母親の服選びに付き合う。男性
山本 果林さん(仮名)/専修大学4年生。一人暮らし。父は50代、母は40代で幼い頃に離婚。元カレの母親と仲よし。女性
岩下 虎太郎くん/東京通信大学1年生。実家暮らし。両親ともに40代。親との外出や旅行には抵抗感ゼロ。男性
井上 雄仁くん/法政大学3年生。一人暮らし。両親ともに50代。昨年も今年も母親と2人で海外旅行へ。男性
橋場 芽衣さん/早稲田大学2年生。大学の寮で一人暮らし。両親ともに40代。家庭では母親が一番強い。女性
堀井 優香さん/関東第一高校1年生。実家暮らし。両親ともに40代。母親とは何でも話す「友だち母娘」。女性

母の日はプレゼント+手書きのカード

【原田】親子の距離が近くなっているためか、最近は母の日市場が大きく伸びているんだ。若者が、友だちにプレゼントをあげる感覚で親に贈り物をするようになったのかもしれない。皆は母の日や父の日に何を贈ったの? できれば、いくらぐらいだったかも教えてくれるかな。

【塩田くん】値段は覚えていないんですけど、母の日は花とローラアシュレイのギフトセット、それと手紙を贈りました。日頃の感謝と「おかげでこんなに成長しました」的なことを書いたと思います。父の日は、父親と一緒に居酒屋に行きました。

【原田】河島英五の歌に「野風増」というものがあって、「お前が20歳(はたち)になったら酒場で酒を飲みたいものだ」という歌詞なんだけど、あれはあくまでオヤジの願望であったはずなんだけど、今はこんな気持ちを歌詞にしなくても、子供の方が喜んでついてきてくれるようになっているんだね。

【井上くん】僕は、母親には4000円ぐらいのハーバリウム(ガラス瓶にオイルとドライフラワーなどを入れたもの)、父親には1万円ぐらいのテニスウェア。両親とも母の日・父の日と誕生日が近いので、毎年、誕生日プレゼントも兼ねて贈っています。誕生日に実家に着くように発送して、当日の24時を越えた瞬間にLINEでお祝いメッセージを送りました。

【原田】24時を超えた瞬間にLINEって……相当思い入れがあるんだね。また、男子でも親に手紙やLINEを出すんだ。バイト代からそれだけ出すってことは、両親へのプレゼントの優先度が高いんだなと思ったよ。

新ワード「カレ親誕プレ」

【山本さん】私は自分の両親にあげたことはないんですが、元カレのお母さんには紅茶セットを贈りました。元カレとお金を出し合って買ったんです。

【原田】前回、「カレ親デート」や「元カレ親デート」って単語が出てきたけど、「カレ親誕プレ(誕生日プレゼント)」や「元カレ親誕プレ」なんてワードも今の時代は成立しそうだね。

【橋場さん】母の日・父の日や両親の誕生日に、何かプレゼントをしたことはないと思います。「お給料をもらえるようになったらでいいよ」って言われているので、それに甘えて(笑)。でも、私は毎年両親から誕生日プレゼントをもらっています。

「家族だけではなく、恋人同士でも手紙がブームになっている」と塩田くん

【原田】そっちの方が昔の感覚で言うと普通な気がしますけどね。

【堀井さん】母の日は花とスイーツで4000円ぐらい。父の日は、値段は覚えていないんですが扇子をプレゼントしました。両方とも手書きのメッセージカードと一緒に渡しました。

【原田】4000円って、高校生の堀井さんにとっては結構な値段だね。それにしても手紙は驚きだなあ。僕は親にメッセージを書くなんて恥ずかしくてできないよ(笑)。今の若者は全部スマホで完結して、手紙なんて書かないんだと思っていたよ。

【塩田くん】手紙は最近、ちょっとしたブームなんじゃないかな。僕の周りの子は、親にだけじゃなくて彼氏や彼女にもよく書いていますよ。

【原田】なるほど。今は世代を問わず手書き離れが進んでいると言われているけど、あらためて手書きやアナログのよさが見直されているのかもしれないね。