日本が取り組むべき3つの課題
日米3世帯それぞれのケースを通じて、いわゆるパワーカップルの働き方と家庭をめぐる状況を見てきた。共働きを継続するには、本人たちの意思のみならず周囲の環境も含めて、米国の方が進んでいる感がある。
とはいえ、その米国でも、主に子育てを担う女性が仕事と家事・育児を両立させるには、まだまだ高い壁が残されているのが現実だ。米国のヒラリー・クリントン元国務長官のスタッフを務めたアン=マリー・スローター氏は、著書『仕事と家庭は両立できない?』の中で、米国の女性が苦労させられている点として「競争を尊び、他者をケア(世話)する人が弱い立場に置かれる制度の中で、競争とケアを両立させること」と指摘。同時に「家族のケアよりもカネを稼ぐ方が価値が高いなんて、どう考えてもおかしい」と訴え、家族の世話が軽んじられた結果、差別を受けるのは主に女性だと明言している。
このスローター氏の主張は、Cさんが唱える総合商社のケースにそのまま当てはまる。
①勤務時間の長さにとらわれない、成果主義の拡大、②在宅勤務などリモートワークの前向きな活用、③トップ自らが育児や長時間労働に対する意識を改革し、トップダウンによる社内空気の刷新――。子育て・共働きを当然とする世代が、組織内人材の核となる時代を見据え、日本企業が早急に取り組むべき処方箋は、これらに集約されるのではないだろうか。
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