完全自然法に切り替えて体が整う人も

【先生】まず①について。これは、できれば治療に取り組む前に話し合えていると良いとは思いますが、治療を続ける中でも、夫婦で話し合ってほしいと思います。

「期限」に関しては、妊娠のタイムリミットという観点もあるのですが、もう一つ「生まれた後の子育て」のことも考え夫婦のライフプラン的に実現可能かも考えた方がいいと思います。仮にですが、男性側が45歳だと、生まれた子どもが20歳になる頃には65歳になっていますからね。

【せいじ】たしかに……! 子作りのことを考えるとき、「産める年齢」を考えがちですけど、「育てる期間」のことも頭に入れておかないといけませんね。

②の「違う方法を試すか考える」というのはどういうことです?

【先生】まず、体外受精や顕微授精の場合は「ホルモン刺激法」といって卵胞を育てたり、排卵を促すためのホルモン剤投与を行うことが多いのですが、それをやめて「完全自然法」で治療を進める、というのは一つの選択肢です。

【せいじ】でも、それって今までよりも可能性が低くなる気がするのですが……。

【先生】必ずしもそうとは言えないんです。ホルモン刺激法は薬の投与によってホルモンを刺激して卵胞を育てたりするのですが、それには副作用などで身体的な負担があったり、そこから精神的なストレスを感じることもあります。そういった負担は本来の身体の機能に対して影響を与えることも考えられるので、「完全自然法」に切り替えると、身体の機能が整う方もいらっしゃいます。

【せいじ】なるほど……!

年齢が高くなると、ホルモン刺激法が向かないこともあり、30代はホルモン刺激法で試し、40代からは「完全自然法」に切り替える方もいらっしゃいます。

養子縁組という選択肢も考えて

【せいじ】③は「夫婦の生き方を考える」とありますが、これは「子どもはいないけど、二人で幸せに生きていく」みたいな生き方を考えるということですか?

【先生】それも一つの考え方ですね。実際に、不妊治療で子どもを授かることは諦めて、夫婦二人で楽しい人生を生きようと方向転換をされる方もいらっしゃいます。

他には「養子縁組」という選択肢もあります。「養子縁組」については馴染みのない方が多いかもしれませんが、実は日本は過去には多くの養子縁組によって「子どもが欲しい夫婦」と「親のいない子ども」が繋げられていました。

【せいじ】そうなんですね。養子縁組と聞くと、ドラマなんかで主人公が役所で戸籍謄本を見たら「養子」と書かれていて気づく、みたいなシーンでしか目にしたことがないですね……。

【先生】実は「養子縁組」もいくつか種類がありまして、「特別養子縁組」に関しては戸籍上では「養子」という表記ではなく「長男・長女」といった実子と同様の表記になります。子どもが生まれても育てられないカップルもいまして、そういうカップルの子どもと子どもが欲しい夫婦をつなぐ制度なんです。

【せいじ】なるほど。最近じゃ「結婚」や「夫婦のあり方」についても多様性を認める社会になりつつありますし、「子どもを持つかどうか」「夫婦二人で生きるのか」「家族とは何か」という点も、夫婦それぞれの考えのもと、幸せな人生を送れる意思決定をしてほしいですね。

【先生】そうですね。

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