プライベートが充実すると仕事もうまく回る
特に隠しているわけではないのですが、趣味の場を仕事の延長にしたくないので、あまり仕事の話はしていません。仕事の話をしなくても、ほかに楽しい話題はたくさんありますし。社長に就任して、メディアに取り上げられたとき、ワインの仲間からは「そんな仕事をしていたんだ!」と驚かれたほどです。
プライベートが充実しているほうが、仕事もうまく回るという実感があります。いきいきした、ポジティブな雰囲気は周りにも伝播します。影響を与える範囲が大きい立場になったのでなおさらです。
それに、仕事と関係のない趣味を通じた友達と話すと、「そういう考え方、感じ方があったのか」とはっとすることも多いですし、きちんと休んでリフレッシュすると思考の幅も広がります。仕事にも活きるので、遊びと仕事は相乗効果があると思います。
「私の」ではなく「私たちの」マネックスを作りたい
マネックス証券には役員の部屋がありません。もちろん社長も例外ではないので、私はいつもオフィス中を歩いて「昨日こんなおもしろいことがあってね」と、周りの人に話しかけたりしています。相手は聞いているかわかりませんが(笑)。私は声が大きいので、独り言を言ったつもりでも「清明さん、今の独り言じゃないですよね?」と言われたりしています。社長になったからといって、パーソナリティーは変えられるものではありませんね。
わからないことがあれば、すぐに自分から聞きに行きます。何かあればすぐに集まって話したり、便利なチャットツールを用いて常にコミュニケーションをとるようにしています。
私は「ここに行こう」と旗を立てて「ついて来い!」とみんなをひっぱるタイプではありません。「清明の考える」「私が考える」マネックスを作るのではなく、みんなで考えて「私たちの」マネックスを作っていきたい。私の役割は、みんなの考えをつぶすことなく引き出すことだと思っています。
マネックス証券 社長
2001年、京都大学卒業後、三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。06年MKSパートナーズ、09年マネックス・ハンブレクト入社。11年、同社社長。13年グループ本社に転籍し、執行役員。16年に執行役、18年に常務執行役。19年より現職。