転職5社目で役員に。MVPの意味を間違え焦ったことも
コカ・コーラ ボトラーズジャパンの執行役員であり、ペットボトルなどを扱う調達部門の統括部長である荷堂真紀さん。これまで4回の転職を経て、多彩なキャリアを築いてきた。
「会社を移ると、そのたびに築いたネットワークを断ち切り、新しい環境に入っていかなければならない。そのたいへんさはありますが、一方でそれが楽しいんです。そのたびに、まったくの白紙から自分を試すことができますから」
そう話す荷堂さんは「失敗を失敗とは思わず」「いやなことはすぐ忘れる」タイプ。精神的なタフさがその根底にある。
「それこそ失敗なんて星の数ほどしてきました。例えば、『MVP』という用語はマイクロソフトではスポーツと同じ、『最優秀プレーヤー』という意味です。でも、コカ・コーラでは『モースト・ヴァリュード・パートナー』。てっきり社員のことだと思っていたら、顧客だったなんてこともありましたね」
グローバルな組織で、英語力を鍛えられた
外資系企業に勤めてきたが、英語が堪能だったわけではない。大学の工学部で当時、最先端の職業であったシステムエンジニア(SE)の勉強をし、新卒で日本電気に入社。その後、版権を扱うUnitedMedia社に転職し、上司と意思疎通を図るため英語を習得。そして、31歳のとき日本マイクロソフトに入社した。
「英語の勉強を本格的に始めたのは27歳ぐらいから。マイクロソフトの場合、日本のオフィスにいても直属の上司が日本にいるとは限らないので、自然に鍛えられました。英語で電話をして、5回聞いても詳細がわからず、相手の人から半分キレたように『メールで送るから読めよ』と言われたり(笑)。言われたことを間違って解釈し、プロジェクトを違う方向に進めてしまったこともありましたよ」
人によってはプレッシャーに押しつぶされそうな状況でも、荷堂さんは常にフラットな目で自分の働く環境を見てきた。多国籍のチームでこまめにコミュニケーションを図り、情報をシェアしていくこと。それにはSEとして働き、チームワークが基本だったときの経験も役立ったという。
「大人数でシステム開発をしてきたので、もともと進捗(しんちょく)状況を細かくシンクロナイズするという意識はありましたね。マイクロソフトに入って5年目、『グローバルなローカリゼーションのマネジメントをやりませんか』というオファーをもらい、シアトルの本社に行くことになりました」