歯周病菌を抑制する善玉菌「ロイテリ菌」に注目
病原菌を抗生物質で殺菌するのではなく、善玉菌を摂取することで体内の善玉菌と悪玉菌のバランスをコントロールする「バクテリアセラピー」の考え方が口腔ケアにも広まっている。注目されるのがヒト由来の乳酸菌「ロイテリ菌」だ。
善玉菌にもいろいろな種類があり、それぞれ得意分野があるが、ロイテリ菌が優れているのは、臨床データが圧倒的に多く、世界中で治療に使用されている点。口腔内では歯周病菌やむし歯菌を抑制し、腸では免疫細胞を活性化して感染症や風邪、アトピー性皮膚炎や、その他のアレルギー症状を低減することが報告されている。
歯磨きの後“寝る前にロイテリ菌サプリを1粒”のすすめ
若林先生によると、口腔ケアの新・三種の神器は『歯磨き・定期検診・ロイテリ菌の摂取』だそう。それぞれの注意点を聞いた。
①歯磨き
歯ブラシ、歯間ブラシ、フロスを使った衛生管理。歯ブラシだけでは不十分なので、必ず歯間ブラシかフロスを併用すること。物理的に悪玉菌を減らすことができる。
②定期検診
半年に1度(できれば3カ月に1度)受診してPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaningの略。専用機器やフッ化物入り研磨剤を使ったプロによる歯の清掃のこと)を受ける。
③ロイテリ菌の摂取
ロイテリ菌には歯周病菌・むし歯菌の抑制効果が確認されている。サプリメントやヨーグルトなどが販売されているので自分に合ったものを選ぼう。サプリメントなら夜の歯磨きの後、口の中でゆっくり溶かすのがポイント。起床時の口の中のねばつきが解消される。
若林先生によると、ホルモンバランスの揺らぎで唾液の質が変化する更年期は、口腔内の細菌バランスが乱れやすく歯周病リスクが高まりやすいというから注意したい。また、歯石がつきやすい人も歯周病リスクが高い。こまめに歯石除去をしよう。
平均寿命と健康寿命の開きが世界一大きいといわれるのが日本。その差を埋める鍵は「口腔ケア」にありそうだ。