今、「子育てする父親」こそ必要

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日本での「父親産休」や「父親育休」は、どのような財源でどのような位置づけで実現するのだろうか。例えば教育の面だ。ここがしっかりしていないと「父親ゴロゴロ」問題は解消されない。日本には充実した産前の「母親学級」があり、自治体によっては「父親学級」「両親学級」もある。しかし先日の政府の会議では四国の方から「少子化が進んだ自治体では母親学級が精いっぱいで、父親や両親学級は開催できない」と聞いた。それなら「母親学級」を「両親学級」として開催することが、なぜできないのだろうか。

日本でも、企業ではすでに「父親育休100%」を競う流れがある。だが、有給休暇を男性育休として取得させているケースが多い。三菱UFJ銀行や積水ハウスは30日間の有給休暇を「男性育休」に当てる制度を作っている。企業が育休の制度ではなく有休で父親育休を取得させるのは、書類手続きなどの「使いにくさ」の問題、取得したら評価が低くなるのではないかという男性側の不安などがある。

一方、育児休業給付金(雇用保険による)を使えば企業はその分の人件費を浮かせて代替要員などにあてることができる。この点、有休を使うと「他の社員へのしわ寄せ」が解決しないのではという意見もある。休暇中の経済面についても課題が残るが、今の雇用保険の給付金の水準を現状の67%から80%に引き上げることと、社会保険料の免除でほぼ100%の給与が保証されることになる。

また「産休」なのか「育休」なのかで財源が違うという問題もある。フランスの「父親休暇」は「育休」とは違うものとして区別されている。報告書には「女性の産休に対応する『子の誕生直後家庭に入るための』男性の権利とされ」とある。

いずれにしても「評価」や「迷惑」を恐れて、制度があるのに「使えない制度」化するのは非常にもったいない。これはやはりトップダウンが効果的で、企業のトップが声をかければ横並び意識の強い日本では、あっというまに100%近くまで数字が上がる。企業の「男性育休100%」の達成はトップの本気度次第なのである。

課題は父親をいかに子育てのスタートに巻き込み、継続的に子育てを「自分ごと」化してもらうかだ。そのためには「出産後2週間以上」の子育てスタートアップ休暇と産前産後の「両親教育」が必要で、それをいかに法改正などで実現させていくか、議連には期待している。日本で子供が生まれないのも、男女の収入格差が大きいのも、男女が一緒に子育てをできないことが原因だと思うからだ。

1.38%(2010年)だった男性の育休取得率は、未だに5.14%(2017年度)。家事も育児も仕事も背負い、どうして2030(2020年までに責任ある地位の女性を30%に)が達成できるのだろうか。万策尽きた日本の未来には「子育てする父親」こそ必要なのだ。

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