第二に重視するのは遺伝子データ
経済データほどではないにしろ、容姿と身長も男性が選別されるデータになっています。拙著『モテる構造:男と女の社会学』(ちくま新書/2016年)に詳しく書きましたが、それは、じつは子どものためなのです。娘だったらルックスがいいほうがいいし、息子だったら身長が高いほうがいいので、自分のためというよりもやがて生まれる子どものために、男性は経済データだけでなく、外見つまりは遺伝子のデータでも選別される傾向が強くなっています。
女性の「結婚困難」は婚活が解消する
(中略)女性の収入については、あまり気にされません。外見も身長も関係ありません。では、なぜ年齢か。端的に言って、「出産」「育児」です。多くの若い男性にとって、子どもを産んで育てられる年齢ということが女性が結婚相手として選ばれる大きな条件になります。
(中略)男性は結婚の条件として相手の経済面はあまり重視していません。まあ、最近の男性は「女性の収入は高いほうがいい」、つまり共働きしてもらいたいという意見が多くなっていますが、最優先の条件ではありません。
そして、外見に対する男性の好みというのはかなり多様なので、女性にしてみれば自分を好んでくれる男性がどこかにいるわけです。もちろん、どこかにいるけれどもどこにいるかはわからない。それが、女性が婚活する理由でもある(いろんな男性と出会うチャンスが増えるわけですからね)。女性のほうが婚活に積極的ですが、その理由も、婚活すればいつかは結婚困難が解消されるという手ごたえを感じるからでしょう。男性はそもそも経済や容姿のデータで選別されるので、婚活してもチャンスが増えることはなく、結婚が困難なことに変わりはありません。つまり、結婚できる・できないの格差は、特に男性のほうに残るわけです。これは、私の編著書で、村上あかね桃山学院大学准教授が詳しく分析しています(『「婚活」現象の社会学』)。