男女平等への動きが大きく遅れている日本。2018年末に発表されたジェンダーギャップ指数は149カ国中110位、先進国首脳会議(G7)のなかで最下位という結果でした。なぜ、日本の変化は遅々として進まないのでしょうか。

企業で女性管理職が増えない理由

管理職に占める女性の割合

アメリカやイギリス、シンガポールなどで管理職における女性の割合が30%を超える中、日本はいまだに12.9%です(図表1)。なぜ、女性管理職が増えないのでしょうか。

日本でも1986年に男女雇用機会均等法、2017年に女性活躍推進法が施行され、政府も女性管理職を増やすよう呼びかけていますが、女性活躍推進法には罰則がなく、企業での速い変化は期待できそうにありません。内閣府が掲げた「2020年までに女性管理職(指導的立場の女性)を30%に」という目標も達成できないことは明らかです。

女性管理職は増加傾向にはありますが、その増え方がゆっくりすぎるのです。その理由のひとつは、会社の社長や役員たちには現在50〜60代の男性が多く、まだ古い価値観を引きずっており、社員に向かって仕事に100%コミットしろと求めがちなことが挙げられると思います。効率的な仕事ではなく、汗をかくことで認められ、「残業しないのはやる気がないからだ」と考える。

調査データでも、残業した人の方が出世できるという傾向が出ています。そうすると、女性は家庭での責任も重いので、出世コースからは弾かれるということになりがちです。これまで男性が仕事に集中し出世できたのは、そんな働き方をサポートしてくれる主婦の存在があったから。まずは、効率的であろうがなかろうが、仕事に入れ込んだ方が評価される、そんな評価システムと働き方を変えることが必要ですね。

体力がない人がトップにつくべき⁉

※写真はイメージです(写真=iStock.com/takasuu)

「24時間働ける」ような体力を持つ人が出世してしまうと、どんなことが生じるでしょうか。考えられるのは、そういった人がトップに立つと、同じように仕事に全力投球できない人のことが理解できず、組織全体が「体育会系」の文化に染まってしまうことです。「なんで残業できないの」「なんで残業くらいでそんなに疲れてるの?」となるわけです。

いっそのこと、体力のない人にトップに立ってもらったほうが、組織改革は進むのではないでしょうか。というのは、一度体を壊した経験を持つ人なら、無茶な働き方をして体を壊す人の気持ちがわかるかもしれないからです。

いずれにしろ、男性でも女性でも、家庭の責任のために仕事に全力投球できない人、不利な条件を背負った人、こういった人々への配慮・想像力が欠けているような経営者の時代は終わりつつあると思います。